お風呂の時に湯船に浸かるのは何となく美容・健康に良いイメージがありますが、実際どんな効果があるのかって意外とはっきりとは知らないものですよね。
「シャワーだけ浴びるのと何が違うの?」と思われる方も多いと思うので、今回はそれぞれの違いを理系美容家の箱崎かおりさんに詳しく教えてもらいました。
一石四鳥?入浴の大きな美容・健康効果
――お風呂の時に湯船に浸かるのとシャワーで済ますのは何か違いがあるんでしょうか?
パッと見には同じような感じにも思えるかもしれませんが、全く別物と言ってもいいかもしれません。それくらい違いは色々とあるのですが、美容・健康の観点から一番大きなポイントは以下の4つの効果が得られるかどうかですね。
- 温熱作用
- 静水圧作用
- 浮力作用
- 清浄作用
ということで、早速それぞれの項目について詳しく説明していきますね。
①温熱作用
人間の体は温まると全身の血管が毛細血管まで広がって血流が改善します。
血液には様々な栄養を全身へ運んでくれる役割があるので、このとき隅々までしっかり血が巡ることで表皮(肌)にまで栄養が行き渡り、同時に老廃物も排出してくれるので疲労回復や新陳代謝UPといった効果があります。
これは温かいお湯に触れる面積が多ければ多いほど効果が増してくるものなので、シャワーだとほとんど効果は得られないですし半身浴よりも全身浴の方がより効果的です。
②静水圧作用
湯船に浸かるとお湯から水圧を受けますが、実はこの水圧には血液やリンパの流れを改善するマッサージ的な効果があるので全身の血流改善やむくみ解消に役立ちます。
また、水圧を受けると肺も縮まるのですが、この時一生懸命息をしようとするので肺機能も鍛えられて酸素もより取り込めるようになるので新陳代謝が上がるメリットもあります。
もちろん、これも湯船に浸からなければ得られないメリットなので全身浴ならではの効果と言えます。
③浮力作用
湯船の中では体重が1/10になって体が水に浮きますが、このとき全身の筋肉や関節は寝ている時以上にほぐれてしっかり休まる状態なので疲労回復には最適です。
疲れは乳酸や老廃物が溜まった状態で起こるものなので、弛緩したところに①②でしっかり血液が流れることでゴミを効率的に一掃できるのでお湯との相性も抜群ですよ。
④清浄作用
そして最後に体をきれいにしてくれる清浄作用です。
ボディソープやボディタオルを使わずお湯だけでも不要な皮脂や角質がしっかり流せるので体を綺麗に保ってくれる効果があります。
実はこれもシャワーだけでは得られない入浴ならではの特徴なんです。
シャワーだけだと汚れが落ちない?
――シャワーに清浄作用がないということは老廃物が落としきれなくて不潔だったり…?
いえ、ボディソープや洗顔料、ボディタオルなどを使えば汚れは落ちるので別にシャワーだけだから不潔というわけではないです。
ただ、洗剤でゴシゴシこすったりするとセラミドなどの保湿成分や必要な角質まで取れてしまうので乾燥肌を招きやすかったりはします。
なので、不要な皮脂や角質は湯船のお湯でナチュラルに落としてあげるのが一番肌への負担も少なくて済みますね。
――シャワーだけでは皮脂や角質は落ちないんですか?
落とすためにはお湯で十分に角質をふやかしてあげないとダメなのでシャワーだとどうしても力不足になってしまうんです。
肌強さんは無理やりこそいで落とすでもいいのかもしれませんが、肌に対するマイルドさが全然違うので基本的にはお湯のみの方がおすすめですよ。
――湯船の方が毛穴汚れも落ちやすいという話も聞きますね。
毛穴への影響はシャワーもお風呂もあまり違いがないので、そこは気にしなくていいと思います。
メイクや日常生活の汚れは毛穴深くまで入ってしまうことはなくてクレンジングや洗顔だけで十分落とせるものですので。
――角栓が改善されやすかったりするイメージもありますが…。
そういったことも特にないですね。
角栓は皮膚の状態が悪いせいで起こってしまっているものなので、入浴でケアというよりも以前にもお話した通り
- 乾燥
- 肌刺激
- 紫外線
を抑えてターンオーバーが早くなりすぎないことの方が大事になってきますね。
○毛穴の詰まり・黒ずみ・開きに効果あり?クレンジングのメリットとデメリット
https://bellemoi.jp/beauty/4776/
入浴の効果をさらに高めるポイント
入浴は自律神経が整えて食べ過ぎを防いだり代謝を高めてエネルギー消費量をUPしたり、本当に様々なメリットがあって個人的にはダイエットにも絶対第一優先だなとさえ思うものです。
でも、お風呂の入り方を一歩間違えてしまうと逆効果になってしまったりも…。ここでは以下のポイントも知ってさらに入浴時間の品質UPに役立ててみてください。
入浴剤には効果はあるのか
――ところで入浴剤を使う意味とかはあったりするんでしょうか?
実際に私も使っていますが、実は入浴剤には最初に挙げたお風呂のメリット①~④を高める効果があります。
なので入れて無駄なことはないですし、実は水道中の残留塩素も中和できるので肌にも優しいんですよ。
硫酸マグネシウムは温熱効果、炭酸水素ナトリウムは清浄効果…と成分は色々あって難しいですが、基本的な選び方はパッケージの効果や匂いで選んで大丈夫なのでご安心ください。
――オカルトかもしれないですけど匂いの効果も結構ありそうですよね。
香りが気分に影響するのは科学的にもわかってることなので、そんなことはないですよ。
嗅覚って五感で唯一、香り成分の情報がそのまま脳に直接伝わるので思い込みがなくて、ペパーミントの香りを嗅げばスッキリするしヒノキやラベンダーの香りを嗅げばリラックスできます。
匂いは入浴する上でもすごく魅力的な要素なので、ぜひお気に入りの香りのする入浴剤を使ってみてください。
正しいお風呂の入り方
――お風呂の温度は何度くらいがおすすめ、というのはありますか?
38~40℃の湯船に10~15分入ると、ちょうど体温が1℃上がって眠る頃にも副効果神経優位になるのでおすすめです。
――だいぶ物足りない気もしますが…。
熱い方が”入った感”みたいなのはあるかもしれませんが、それ以上になると逆に交感神経優位になりやすくなってしまいます。
また、お風呂からあがった後にガンガン冷やしたりするのもNGで、なるべく少しずつ自然に冷ましていくようにしましょう。
先に体表面の温度だけを下げてしまうと発汗がなくなって熱が体内にこもってしまうので、そうすると「寝付けない」「寝苦しい」と睡眠の質の低下にもつながってきてしまうんです。
スマホはNG
――他にもNG習慣みたいなものはあったりしますか?
今はお風呂で動画を見る方も多いと思うのですが、眼に刺激があるとやはり交感神経優位になってしまうのでおすすめしないですね。
せっかくリラックスできる環境なのでゆっくりした時間を過ごしてみてほしいです。
――マッサージとかはOK?
そうですね。お風呂の中でのマッサージはダイエット的にもすごく効率が良いと思います。
鎖骨や脇の下、股関節、膝の裏、足首など体の節々にあるリンパ節をほぐしてあげるだけでもだいぶ違いますよ。
でも、全身マッサージはすごく大変なのでまずはリンパ節から流してすぐ出ちゃうくらいの気持ちで全然大丈夫です。
最後に…
入浴って誰でもできて習慣化しやすくて、それでいてお金かからないっていう一番コスパのいい健康投資だと私は考えています。
主人も以前は湯船に入らない派の人だったんですけど、お風呂に入るようになってからは血行が改善されて髪の毛が増えたり代謝が改善されてお腹も凹んだりと、だいぶいいことづくめで老若男女問わずめちゃめちゃ良い習慣だと思うんです。
お風呂に週7回入る人が週6回以下の人より幸福度が高いという調査結果もあったりしますし、入らない派の方もこの機会にぜひ1週間だけでも湯船に浸かってみて欲しいですね。