ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった

佐藤彩香
written by
佐藤彩香管理栄養士

ビタミンBが体に及ぼす効果とは

糖化に関するお話でも説明しましたが、ビタミンBは体の代謝に直接関わっている成分です。

このビタミンBを効率的に摂取することによって体の老化(糖化)が妨げられるのでアンチエイジングになるということでしたよね。

しかし、ではそんなビタミンBと疲労回復の間にはどのような関係があるのでしょうか?

ビタミンBが疲労回復に重要な理由

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった7

人間の体の中は食べたご飯粒が直接血管を流れて栄養を届けているわけではありません。

  1. 食べ物(エネルギー源)を摂取する
  2. 食べ物が体内で消化・吸収され、全身に輸送される
  3. 代謝され、エネルギーになる

という仕組みを経て始めて私たちの体のエネルギーになります。
これにより日々勉強したり仕事したり運動したりといった行動が行えるわけです。

そして、実はこの代謝効率が落ちてしまうとエネルギーが不足し体には疲労感や倦怠感といった不調につながってくるんです。
車に例えると、給油したガソリンの燃焼効率が高ければ燃費が良くなって長い距離を走れるようになる、といったイメージでしょうか。

なので、ビタミンBを摂取して代謝機能をしっかり高めてエネルギー源を体で効率的に作れるようになることが、ひいては疲労回復にも効果を及ぼすんですね。

代謝効率が上がって肉体的な負担が減ると疲労感や倦怠感が改善されますが、副次的には太りにくくもなりますし負担が減って精神面も改善したり…などいろいろなメリットが得られるんですよ。

ビタミンBはとても不足しがち

ただし、このビタミンBは水溶性なので発汗や排泄など体の水分と同時に流出していくので常に不足しがちです。

特に現代人はただでさえ必要量が足りてない人が多い上に常に不足しがちという状態になるので、意識的に摂取することが大事ですね。

ビタミンBが多く含まれる食べ物とは

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった20

ビタミンBと一言で言ってもその内訳は細かく分けることができてビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2…などたくさんの種類があります。

そして、それぞれが担っている役割も微妙に異なっているんです。

成分名役割
ビタミンB1代謝にまんべんなく関わる成分ですが、特に糖質の代謝に関わる成分です。
ビタミンB2代謝にまんべんなく関わる成分ですが、特に脂質の代謝に関わる成分です。
ビタミンB3(ナイアシン)糖代謝も脂質代謝も代謝についてオールマイティに関わる成分です。
ビタミンB5(パントテン酸/パンテチン)糖代謝も脂質代謝も代謝についてオールマイティに関わる成分です。コレステロールやホルモンなど免疫系の合成にも関わっていて、皮膚や粘膜の保護などにも関わりがあります。
ビタミンB6代謝にまんべんなく関わる成分ですが、特にたんぱく質(アミノ酸)の代謝に関わる成分です。
ビタミンB7(ビオチン)糖代謝も脂質代謝も代謝についてオールマイティに関わる成分です。ただ、新陳代謝など肌への代謝が割合としては多い成分になります。
ビタミンB12・葉酸他のビタミンBとは若干はたらきが違っていて、代謝はもちろんですがDNAの合成や赤血球の生成にも関わっています

ポイントは動物性食品

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった1

これらのビタミンB群の全般は、主に肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などたんぱく質がイメージされるような動物性食品で摂取することができます

動物性食品以外では、一応緑黄色野菜や穀類などにもビタミンBは含まれていますがあまり多いというわけではありませんね。

ちなみに、「ビタミンB1を○○から摂取してビタミンB2を○○で摂取して~」というわけではなく、ビタミンB群はまとめて摂取できますのでご安心ください。

ビタミンB12の摂取にご注意を

ただし、ビタミンB12に関しては少し特殊で植物性の食べ物にはほぼ入っていないという大きな特徴があります。
そのため、ベジタリアンやヴィーガンの方は大量の緑黄色野菜を摂取しない限りは絶対的に不足しがちです。

ビタミンB12や葉酸が少なくなると酸素を運びづらくなるので、動悸・息切れとかの貧血といった症状が出たり、疲労感にもつながりやすくなってしまいますね。

また、DNAの合成にも関わるということは、妊婦さんで不足すると子供が障害を持って生まれてしまうリスクが高まります。

特に女性で妊娠希望の方や菜食派の人は意識的に摂るよう注意が必要ですね。

ビタミンB群は壊れやすい

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった22

また、ビタミンB群は加熱調理に弱いのであまり高温で揚げたり炒めたりすると壊れてしまいます

なので、効率的に摂取するためには食材以外に調理方法にも気を使う必要がありますね。

いくつか例を挙げると、お刺身や生卵、冷奴、緑黄色野菜のサラダなどといった形であれば比較的ビタミンBを壊さず効率的に摂取できますよ。

その他、疲労回復に良い食べ物やセルフケアなど

糖化を防いでアンチエイジング!原因物質AGEsを減らす予防・対策とは?8

当たり前の話になってしまうかもしれませんが、やはり睡眠や運動、ストレスをためないというのは普通に大事な部分になりますね。

  • 運動量が減ると筋肉量が落ちて基礎代謝が下がる
  • ストレスが多いと活性酸素の影響で体の酸化(老化)が起きる
  • 睡眠時間が少ないと成長ホルモンの分泌が減って老化や免疫低下が起こる

といった悪影響が出てくるので、体のベースになる部分はやはり大事です。

ビタミンCにはストレス軽減効果が

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった23

その他の成分では、実はビタミンCにも疲労回復の効果があります。

人間はストレスを感じたとき、これに対抗するため抗ストレスホルモンが必要になりますが、これの産生にビタミンCが関わっているのでストレス緩和には不可欠な成分なんです。

ストレスと言うと精神的なもののイメージが強いですが、実は重いものを持ったり、暑い寒い、紫外線を浴びた…などの無意識のうちに感じている肉体的ストレスも疲労につながっているんです。

抗ストレスホルモンはこういった無意識のストレスによる疲労を軽減してくれるので、肉体的・精神的両面の疲労にとって改善効果があります。

特に現代人の疲労はストレス由来のものが結構多いですから、そういう意味ではビタミンCも同じくらい疲労回復に大事ですね。
しかも、ビタミンCもビタミンBと同様に水溶性ビタミンで不足しがちなので取りすぎて困るということはありませんよ。

ビタミンBが含まれるサプリ

そうは言っても、生活習慣の問題から食事でビタミンBやビタミンCを摂るのが難しい方も多いのではないでしょうか。
そのような場合ではサプリメントに頼るのも1つの手です。

ただ、ドラッグストアに売っている格安のビタミンBサプリの効果は質がともなっていないものも多くあります。

先ほどビタミンBは熱に弱いという話をしましたが、安いサプリは製造過程の熱によってカプセル中のビタミンBが損失している可能性が高いためです。

安すぎるサプリメントは一度しっかり確認をしましょう。安さだけで買わずに、栄養士など専門家が周りにいたら一度相談してみましょう。

最後に…

ご存知ですか?実は倦怠感・疲労回復の鍵を握っているのはビタミンBだった5

ビタミンで疲労回復というのはあまりイメージできない人も多いかもしれませんが、実はかなり重要な要素だと思っていただいて大丈夫です。

実際、私も外食が続くこともあり、食事とサプリメントをうまく組みあわせていますが、そのおかげか今は仕事がたてこんでも「思ったほど疲れてはないな」と実感できるようになりました。

そこまでするのはなかなか難しいかとは思うのですが、普段インスタント食品が多めの方は食事に生卵や冷奴などを1品追加してみたりして意識的に摂取してみていただきたいですね。