ヨガに興味を持ち始めると色々な流派を知ることにもなりますが、その中でもホットヨガの対極に位置するのが陰ヨガです。
何となくストレッチのようなイメージはありますが具体的にはどんな効果やメリットがあるものなのか、ヨガトレーナーの五十嵐由奈さんに詳しく教えてもらいました。
そもそも陰ヨガって何?
――陰ヨガというのは他のヨガとは何が違うんでしょうか?
陰ヨガというのはヨガの流派の1つで、パワーヨガのような他のエネルギッシュな流派に比べて深いところにジワジワ効かせるストレッチのようなヨガですね。
エネルギッシュな動きは体を緊張させるものなので、それとは真逆で体のインナー(深層部)まで緊張を緩めて「体をリラックスさせてあげよう」というところが大きな目的です。
以前に紹介した月礼拝や寝たままヨガ(ヨガニードラ)なんかは陰ヨガに近いかもしれません。
――となると運動負荷は低めで取り組みやすい?
そうですね。ポーズも誰でもやりやすいような動きなので、ご高齢の方や初心者の方でもすごく受けやすいのが陰ヨガかなと思います。
私もヨガニードラのクラスを受け持っていますけど、体により深くリラックスさせて効かせるような内容になっているので、いびきをかくほど眠っているような方も結構いらっしゃるくらいなんですよ。
体がほぐれる?陰ヨガを行うメリットとは
――深くグッと効かせるということは柔軟性が高まるメリットなどがあったり?
そうですね、他の流派と違って同じポーズを3~5分キープするので柔軟性が高まるのは大きな特徴だと思います。
後は陰ヨガをしているとリラックスして心が落ち着くので、イライラしづらくストレスも受けにくかったり常に心がニュートラルな穏やかな状態でいられるようになると思います。
特に普段エネルギッシュな生活をしているなーと感じる方こそ陰ヨガで緩める時間をぜひ取ってみて欲しいですね。
――リンパが流れたりという話も聞きますが。
そうですね、これは陰ヨガに限らずですけども。
じっくり効かせていくことで筋肉のポンプのはたらきが良くなるので血流も改善されていきますしリンパの流れも改善していきますよ。
ただ、陰ヨガは座りながらの動作が多いので特に足がむくみやすい方にはおすすめと言えるかもしれません。
1日5分で効く、動画で見る陰ヨガのポーズ
今回紹介する陰ヨガのポーズは2つ、本格的にできる定番の月礼拝と簡単にできる座りながらの陰ヨガのポーズです。
ぜひ、その日の気分や体調に合わせて使い分けてみてください。
月礼拝のポーズ
月礼拝を行うタイミングはその時のコンディション(気分)に合わせて太陽礼拝と分けて行っていくので大丈夫です。
ヨガ的には特に満月と新月のような月の力が大きくはたらく日に行うのが習慣的なので、こちらに合わせて実践していくのもおすすめですよ。
座ってできる陰ヨガのポーズ
また、陰ヨガには座ってできるポーズもあるので「陰ヨガの気分だけどそこまで頑張りたくはないな」と思うようなときには、ぜひこちらのメニューも参考にしてみてください。
陰ヨガのポーズを取るときはちゃんと効かせたいところに効いているかしっかり意識しながら行ってみてください。
陰ヨガの効果を高めるポイントは
――体を緩める目的なら、やはり夜に行うのがおすすめですか?
いえ、特にそういったことでもありません。いつどの時間帯にやっていただいても大丈夫ですよ。
ただ、ヨガはその日その日で効果や体調の違いを感じることが大事なので朝でも夜でも自分の決まった時間にルーティン化してしまった方が良いとは思います。
日々実践していく中で「この動きで体が変わったんだな」「この動きは効果がなかったかも」とより効率的にヨガの習熟度を高めることができますよ。
でも、陰ヨガばかり行っているのもまたNGなので注意が必要です。
――陰ヨガをしすぎるとデメリットがあるということですか?
ヨガは陰と陽のバランスなので、陰ヨガばかりやっていると逆に緩めすぎてしまって眠気やだるさが続いてしまう原因にもなります。
なので、パワーヨガやホットヨガなど適度に陽の要素のあるヨガも取り入れてまんべんなくやって欲しいかなと思います。
ただ、緊張しがちな方や体を緩めてリラックスするのが苦手な方は陰ヨガ多めでも大丈夫です。そこは自分の体とのバランスになりますね。
――逆に活発なヨガばかりだとちょっとトゲトゲしくなってしまったり?
実はそうなんです。陽ヨガのクラスしかやらない方はイライラしがちな方もたまにいらっしゃるかな…という印象です。
なので、ぜひ太陽礼拝など普通のヨガばかりやってきたという方は陰と陽のバランスを取るために一度やってみていただきたいかなと思います。
――他にも気をつけた方が良いポイントはありますか?
先ほど寝てしまう方もいると言いましたが、実はリラックスしすぎて寝てしまうと自分で効果が実感できなくなってしまうのでそこは注意ですね。
そういうときは「眠いときは体が疲れているサイン」と考えて、まずは1回ちゃんと寝てしまってからあらためて陰ヨガや瞑想をするのが良いと思います。
最後に…
陰ヨガの中でも個人的に特におすすめなのは自分自身でも体の大きな変化を感じた月礼拝です。
月礼拝は足の付根から足裏まで下半身をまんべんなく使って巡りが良くするので、体がむくんだりして「重いな、だるいな」と感じるようなときも脚がポカポカするし本当に軽やかになります。
冷え性やむくみでお悩みの方からホルモンバランスやストレスでお悩みの方まで女性の悩みを改善するにはもってこいだと思いますよ。