「正しいファスティングは体にメリットだらけ!」そう語るのは美容家の中澤祐子さん。
腸を整えることで健康や美容にとても役立つとのことなのですが、今回はそんな今さら聞けないファスティングのメリットやおすすめのやり方について教えてもらいました。
ファスティングの効果について
――そもそもファスティングと断食って何が違うんでしょうか?
断食は水も飲まない本当の絶食ですが、ファスティングは水や一部の飲食物は摂取OKになります。
前者は宗教上の儀式とか修行で後者はどちらかと言うと健康法になるので、同じ食べないでも意味合いは全然違いますね。
――ご飯を食べないのに健康法なんですか?
はい。ファスティングは現代的な飲食で酷使し過ぎている腸をちょっと休ませてあげようというのが目的で、その本質は食事を控えつつ酵素から良い栄養素を取り入れることで腸内環境を整え機能を上げることにあります。
例えば腸内で善玉菌が増えると便秘解消、免疫UP、痩せ体質になったり多くのメリットがある他、幸せホルモンのセロトニンも出やすくなるんです。
なので、ストレスや疲れを感じている時にこそファスティングで腸活してあげると身体的にも精神的にもすごく元気になれるのでおすすめですよ。
――食べない=出すモノがないのに便秘解消とは不思議ですね。
腸は使い続けたり肩こりなどから凝ってしまうんですよ。
なので、休ませてあげることで腸も緊張が緩んで機能が高まる仕組みです。
腸が疲れていると便秘や軟便などの消化器の不調はもちろんですが
- 疲れやすかったり疲れが取れない
- なかなか寝つけないし睡眠も浅い
- 体調不良の日が多い
- 肥満や肌荒れが起きやすい
など意外と多くの体調不良を引き起こします。
特に現代の食事は消化しにくい食べ物が多く腸を想像以上に酷使しているので、上記に当てはまる方や暴飲暴食気味の人ほどファスティングの効果は出やすいのかなと思います。
――体の実感としてやはり違うものですか?
やはり全然違いますね。純粋に4~5kg自然に落ちて痩せたのもありますが、一番は体が楽になって疲れにくくなるんですよ。
やっぱり人間疲れたりストレスがあると「ごほうびで飲みに行こう」「何か美味しいスイーツ食べよう」って余計な食事に走りがちなんですよね。
でもそれって体にはさらに負担をかけて腸内環境もどんどん悪くなって、さらなる体調不良を引き起こす悪循環になってしまいます。
なので、そこで「最近ちょっと食べ過ぎてたから整えよう」と体のメンテナンスっぽい感じで取り組んであげると健康にもなりやすいです。
私も体のバロメーターみたいな感じで自分の心身のバランスをファスティングでリセットして体質改善しているところがありますね。
――何回も繰り返すのは失敗してるわけじゃなくて、そういう理由からなんですね。
そうですね。腸内環境も善玉菌もいきなり増えて良くなるわけではなく育てていくものなので、なるべく長く続けていくことが一番大事かなと思います。
なので私自身も皆さんには無茶なファスティングではなく生活に取り入れやすく無理なく続けられる方法をおすすめしています。
ファスティングと酵素の関係
――ところでファスティングと言えば酵素ドリンクとセットのイメージが強いですが、酵素にはどんな効果があるんでしょう?
酵素はざっくり言うとタンパク質の一種になるんですけど、それ自体の栄養素が豊富なことに加えて消化酵素の手助けをしてくれる役割があります。
せっかく栄養バランスの良い食事でビタミンやミネラルをまんべんなく摂っても酵素が無いことには有効活用されることもないので、実は体にとっても必要不可欠な存在なんですよ。
また、体には2種類の酵素があって以下のように分けられます。
- 代謝酵素
生きるために必要な腎臓とかそういうのを動かしてる酵素 - 消化酵素
食べ物を分解して吸収しやすくしてくれる酵素
体の中で1日に作られる酵素の量は決まっているのですが、必要に応じて消化酵素か代謝酵素に振り分けられるので暴飲暴食で消化酵素を使ってしまうと代謝酵素が少なくなっていく仕組みです。
そして、実はこの代謝酵素は健康寿命との密接な関係があり少なくなるにつれ寿命が近づくので、腸を休めつつ酵素で補って温存してあげることが重要なんです。
――ファスティングは健康に加えて延命にも役立つと。
はい。今は人生100年時代と言われてる中で皆さん寿命より健康寿命の方を意識されてるかと思いますが、いかに長く健康で生きていくかという上では酵素は欠かせないと思います。
朝ご飯を食べなかったりフルーツやサラダで済ませたいのも酵素を多く含む食べ物でなるべく消化酵素の量を少なくさせたいのが理由です。
――肝臓みたいに腸もなるべく温存していきたい臓器なんですね。
そうですね。特にファスティング中に酵素を取ると腸が酵素でいっぱいになって、質の良い栄養を摂取しつつ善玉菌を増やして腸の機能を高めることができます。
なのでファスティングのときに使う酵素選びがすごく大事なんです。
ここがきちんとしたものかどうかで体も全然変わってきますし、逆にそこをおざなりにしてしまうと「頑張ったのに全然効果ない」となってしまいます。
酵素ドリンクの選び方
――酵素はどんなものを選べば良いのでしょう?
まず第一には裏面を見て発酵食品に分類されているものをぜひ選んでみてください。
特にドラッグストアなどで売っている安い酵素ドリンクは大体が清涼飲料水(ジュース)なんですけど、それだと欠食してジュースを飲んでるのと変わらなくなってしまうので。
もちろん安くて良いものがあればそれが一番なんですけど、きちんとした酵素を作るにはたくさんの野菜や果物を何年も発酵させる必要があって、どうしても手間がかかるものなんです。
なので安い酵素はジュースと変わらないというか、それで「善玉菌が増えてる」「腸活できてる」と勘違いしてしまうのはすごくもったいないかなと思います。それならフルーツだけにする方がまだ全然健康的なので。
――砂糖入りの商品はNGと。
いえ、酵素が発酵するためには糖自体は絶対に必要なので全く入ってないということはないんです。ただその糖が白砂糖なのかオリゴ糖なのか何なのかという話ですね。
そこはパッケージの謳い文句ではなく自身の目でしっかり裏面まで確認しつつ選んで買っていただくのが良いかなと思います。
ファスティングのやり方
――酵素ドリンクを選んだらいざファスティングですが、初心者向けの簡単な方法はありますか?
1~2日目は準備食を食べて3日間お水と酵素で断食、6~7日目に回復食のおかゆ…がよくある方法なんですけど、1週間ほぼ食べないことになるので私は正直これはあまりすすめていないです。
実際1週間も酵素ドリンクだけで過ごすなんてすごく難しいですし、健康の危険もあるしリバウンドもするし何より続かないのであまり意味は無いと思っています。
とにかく無理なファスティングは禁物なので、私がおすすめしているのは6時間や12時間の短いファスティングになります。
――そんな短時間でも効果があるんですか?
はい。もちろん続けられる方なら1日でも3日でもやっていただいて全然いいんですけど、12時間でも全然問題ありませんよ。
それも朝ちょっと少なめにしてお昼は普通に食べて夜ご飯を酵素で置き換えするだけで大丈夫です。
夜ご飯の代わりに酵素で腸をいっぱいにして善玉菌を増やした状態で寝てしまえば自動的に12時間何も食べてないことになるので、何より楽で続けやすいですよね。
とにかく継続しないと全く意味がないので、1回やっておしまいにならないようなるべく生活に取り入れていってみてください。
――準備期間とか回復食とかは?
12時間なら特にいらないですけど、次の日の朝はなるべく消化酵素をあまり使わず負担をかけにくい生野菜やフルーツにしていただくのがいいと思います。
これもぱっと食べられて安いバナナ、キウイ、きゅうりとか手軽に続けやすいもので大丈夫です。特に朝はなかなか時間も取りづらいですからね。
ファスティングした後は体への吸収率も良くなっている状態なので白砂糖とかジャンクな食べ物は避けてあげて欲しいかなと。
頻度について
――頻度はどのくらいで行えば良いんでしょう?
腸の状態を確かめるセルフチェックは色々ありますけど、正直一番わかりやすいのは便通があるかどうかです。
快便かどうかの指標は1日3回便通があるかどうかなので、1日1回の方はもちろん3日以上便通がなければひどい便秘だと思って腸活して欲しいですね。
また、自分の便の状態を見ていただくのもかなり大事で
- バナナ2本分くらいしっかり出てるか
- コロコロしたウサギ便じゃないか
- 無理やり出してる感じになってないか
など異常がないかどうかもぜひ併せてチェックしてあげてください。
異変があるようだと腸が張っていたり凝っていたりする可能性があるので、そうなる前になるべく早めの腸活で便秘改善を心がけていただくのが良いかなと思います。
でも、特にファスティングした次の日は朝だけで3回くらい便が出るときもあるので便秘の方には本当におすすめですよ。
最後に…
私自身はエステティシャンですけど、お客様の体を一生懸命施術しても月1や月2のご来店だと人の体を変えていくのがどうしても難しいことがあって、やはり人の体って1日で急には変わらないんですよね。
なので「皆さんの体を直接形作ってる食事を変えるのが一番手っ取り早い」と試行錯誤の末に今の12時間ファスティングにたどり着いた背景があります。
キーになるのはやっぱり酵素で、最初こそうちのお店くらいでしか売ってなかった酵素も「体が変わった」って結構口コミで広まって、今では三越さんや東急さんとかで全国展開してもらえるようにまでなったんですけど。
そしたら全国から「辛い便秘が治った」「便秘薬を飲まなくてよくなった」とか喜びの声がすごいもらえるようになって、やっぱり腸にフォーカスするのは間違ってなかったなって確信しましたね。
特に今はコロナ禍で絶対効く薬もない中で予防・免疫がすごく大事だと思うので、ちょっと大げさかもしれないですけど先駆者の久司先生方が一生懸命研究して来られた歴史をせっかく自分が受け継いでるんだから、次は私の番かななんて勝手に思ってたりはしますけど。
ただ、腸は大事ですがファスティングはあくまで腸活の一環なのでハードルが高いと感じる方はまず他の発酵食品を取り入れてみるとか、朝ご飯をちょっと控えめにしてみるとか、ぜひ簡単なところからスタートしてみてください。
ファスティングで体を壊しても本末転倒なので、特に妊娠中・授乳中の方や病院に通っている方は念のためお医者さんに相談の上で行ってくださいね。