【寝る前の10分で体調リセット】布団で寝たまま自律神経を整えるリラックスストレッチ

國府谷沙織
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國府谷沙織ヨガインストラクター

女性は「身体の調子が悪いのが普通」という方も多いですが、実はそれ自律神経の不調が原因かもしれません。

意外と簡単に整えられて体調が一気に回復できる…ということで、ヨガインストラクターの國府谷沙織さんに効率的な自律神経のコントロールを詳しく教えてもらいました。

そもそも自律神経って何?

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類が

――自律神経って名前は良く聞きますけど、一体なんなんでしょう?

これは身体の中でも自分でコントロールできない(自律した)呼吸したり血液を流す、臓器を動かすといった生命活動の調整を担っている神経のことです。

例えば

  • 寝てるときに呼吸や心拍数が遅くなったり
  • 朝起きたら血圧が上がって体温を上げたり

といった無意識のうちにコントロールされている身体のことには大体関係があります。

大きく分けて動いている時に活発になる交感神経と休んでいる時に活発になる副交感神経の2つがあって、それぞれがシーソーのようにバランスが保たれているイメージですね。

――それが崩れているのがいわゆる「自律神経が乱れた」状態ですね。

そうですね。普通は朝は太陽の光で起きる、夜は暗くなったら寝る、という地球と同じリズムの体内時計で生活していれば自然と整いやすいんですが…。

やはり現代人は睡眠不足やストレスが多く交感神経ばかりがすごく優位になりがちでバランスが取れていない方がほとんどです。

自律神経は本当に生きていくこと全てに関係しているような神経なので、それを続けていると自律神経失調症になって心身の不調がずっと続くようになってしまうんです。

だからこそ、意識的にヨガをしたりマッサージを受けたりお風呂に入ったり…といった副交感神経を優位にする活動が必要になるのかなと思います。

自律神経が乱れると身体はどうなるのか

自律神経が崩れると数多の体調不良が

――バランスを崩すと具体的にはどんな不調が起こるんでしょう?

自律神経は全身に巡っているものなので症状もすごく幅広いのですが、例えば多いのは以下のような症状ですね。

  1. イライラしやすい、鬱っぽくなりやすい
  2. 頭痛、背中や肩の痛み
  3. 疲れが取れない、低体温、免疫が弱い
  4. 血圧が下がらない、寒いのに発汗が止まらない
  5. めまい、しびれ
  6. 痩せすぎ、手足の冷え、むくみ、月経不順、不妊

特に女性の場合はホルモンバランスも自律神経でコントロールされているので生理周期に影響したり生理痛やPMSが酷くなったりもしてしまいます。

そして、これを放っておいてさらに酷くなると自律神経失調症になって①~⑥のあらゆる症状が一気に出るようになって大変なことになります。

上記の不調は自律神経失調症の前兆とも言えるので、だからこそその一歩手前の状態で留めておく必要があるんですね。

――恐ろしいですね…。やはり現代人は交感神経優位から来る自律神経失調症が多い?

そうですね。もちろん副交感神経ばかり優位になっても同じように体調は悪くなるのですが、現代社会では圧倒的に交感神経側です。

本来休むべき時間にずっと仕事したり飲食したりで臓器もろくに休めなくて、結果的に身体の機能も免疫も下がって…という負の循環ですね。

だからこそ日中しっかり動いた分だけ夜はしっかり寝て傷ついた細胞や血管を回復して血圧も下げてあげる必要があります。

疲労をケアせずそのまま寝たり睡眠時間が短かったりすると回復がどうしても間に合わないので、そこで副交感神経を優位できる入浴やストレッチがとても大事なんです。

――意外と簡単なことでも改善できるんですね。

はい。それに普段からケアに努めて「バランスが乱れた時にどういう症状が出るのか」を知っておけば、バランスを崩した時も対処がしやすいです。

「良くわからないけど私の身体ってほんと調子悪い」ではなくて「昨日の疲れでこういう症状が出てるから今日はこう解してみよう」と回復の選択肢も選べるようになってくるので不調も引きずらなくなりますよ。

例えばこんなケースも

自律神経失調症を発症したケース

――実際の生徒さんでも自律神経が乱れている方はいらっしゃいますか?

はい。極端な例ですと交感神経が優位になりすぎて睡眠時間も3時間しか取れず寝たくても寝れない、そんな生活リズムがもう戻らなくなっている、なんて方もいらっしゃいます。

それがもう普通(習慣)になってしまっていると体調の良い自分がもうわからなくなってしまっているので、少しずつ改善していくようにはするんですけどやはりなかなか難しいですね。

――1度発症してしまうとなかなか治らないものなんですね…。

なので、そういう方はパーソナルレッスンでもトレーニングはしないでとにかく副交感神経が優位になるようなレッスン内容にします。

そういう方って走ったりトレーニングしたりの追い込み系はすごい好きで得意なんですけど、ストレッチとかじっくりゆっくりするのは苦手だったりするので。

もしせっかちな性格だったり完璧じゃないと許せないような性格の方とかはちょっと要注意かもしれないですね。

自律神経は自分で整えることができる

自律神経を整える3つのポイント

――自律神経をケアするためにはどうすればいいんでしょう?

日中は起きているだけで交感神経優位なのですが、日常生活でも以下の行動だけは副交感神経を優位にできるのでまずは以下の3つの時間をしっかり取ることからですね。

  • 入浴
  • ストレッチやマッサージ
  • 睡眠

この中でも一番時間が長い睡眠は重要度が高く、ただ時間をとるだけでなく質にもこだわっていきたいところです。

疲れ切った状態でただ寝ても疲労は回復されにくいもので、例えば1/3しか回復されないと2/3が次の日に持ち越されて2になって帰ってくるような悪循環の原因になります。

なので、理想的な流れは入浴後にしっかり体を解して最高の睡眠を取ることで、睡眠時間が短く1秒でも長く寝たい方こそやってあげて欲しいポイントです。

後は自分に合った良いマットレスを使ったり朝もしっかり日光を浴びて体内時計をリセット、これだけでも自律神経の整い方はだいぶ変わってくるはずですよ。

自律神経と身体を10分で回復するストレッチ

自律神経を整えて睡眠の質を高める呼吸法

――その他にも日常生活で気をつけた方が良いことはありますか?

特に女性なら仙骨が冷えると不調になりやすいので寝るときは腹巻きでしっかり温めてあげるのはかなりおすすめです。

さらに寝る前に股関節や骨盤周りをストレッチで解してあげるとなお良しですね。

――私はすごい冷え性なんですけど、靴下も着けて寝た方が良かったりしますか?

いえ、残念ながらそれはNGです。

体の熱は足の指から放出されることで代謝を助け巡っているものなので、指先を隠してこもらせてしまうのは逆効果なんです。

一見温かく感じるかもしれませんが、その一晩温かく感じるだけで冷え性そのものは悪化していってしまうので最初は辛いかもしれませんが靴下は脱ぐようにしましょう。

もしどうしても耐えられない場合はレッグウォーマーや湯たんぽならOKなので活用してみてください。

私自身も酷い冷え性が治った過去が…

自律神経を整えて辛い冷え性が改善

私も昔は末端冷え性が酷すぎて靴下を履かないと「とても寝れない!」というくらいだったのですが、自律神経を意識するようになった今ではもうそんなこと全くなくなって快適な日々を送れています。

実際、生徒の方も体を動かして副交感神経が優位になってくると体の不調が改善されてくると皆さんずっと続けるようになるんですけど、やっぱり最初の一歩はなかなか出ないのも良くわかります。

でも、自律神経の改善に年齢は関係ないですし副交感神経を優位にすることは本当に体にとって何一つ悪いことはないので、不調に悩まされているならぜひ騙されたと思って試してみて欲しいですね。