歯は白いに越したことはないので、「ホワイトニングに興味がある」という方は多くいらっしゃるのではと思います。
そして、それは喫煙者の方であっても例外ではありません。
タバコを吸う人でもホワイトニングはできるのか、効果は出るのかを埼玉県ふじみ野市「たきの歯科」の院長・山本達也さんに教えてもらいました。
タバコとホワイトニングの相性
――そもそも喫煙者でホワイトニングしたい方って結構いらっしゃるものですか?
やはり一定数いらっしゃいます、むしろ多い方かもしれませんね。
――タバコと歯の美白はどうしても相性が悪いイメージがありますが…。
はい、その通りです。タバコにはタール(ヤニ)が含まれているので歯の表面にベッタリくっついたり歯石に絡んだりしがちで、どうしても茶色みたいな歯の色になりがちです。
アイコスなどの電子タバコであればタール量が抑えられていて色もつきにくい気がしますが、それでもゼロというわけではなく付着するは付着しますね。
タール汚れの除去はホワイトニング不要?
――やはりタバコは歯の色に影響を及ぼすんですね。
ただ、実はタバコによる歯の汚れって表面的なものが多いので、ホワイトニングで漂白しなくても普通のクリーニングで落ちるレベルの汚れなんですよね。
実際、歯石を取って表面のお掃除をしてあげるだけでタバコによる汚れはもうほとんど落ちてしまいます。
なので、手順としては絶対にクリーニングを先にやってから色味を確認して、その後ホワイトニングでさらに白くするかどうかを検討するのが良いと思います。
――汚れが表面についているだけで浸透しているわけではないと?
そうですね、浸透するケースは少ないと思います。
ただ、少なからず影響はあるのでクリーニングした後にホワイトニングしてあげると白くきれいな仕上がりになるのでオススメですね。
――クリーニングは自由診療の歯医者さんでしっかり落とした方が良いんでしょうか?
これは本当に歯医者さんによりけりですね。医院ごとにかける時間も治療方針も機器も全然違うので一概に言えない部分があると思います。
後は担当になる先生や歯科衛生士さんとの相性の部分もありますし、周りの人の口コミを頼ったり実際に通っていた感想で決めるのが良いのではないでしょうか。
歯茎の色素沈着が必要な場合も
――後は歯以外に歯茎の色が悪くなるケースもありますよね。
はい、これは「貧血を起こして色が悪くなる」のと「歯茎の中に色が沈着してしまう」のが主な理由です。
特に後者はいわゆるタトゥーみたいな状態なのでタバコを辞めても茶色っぽい色が残ったりします。
この場合で色を戻すためにはレーザーで処理してあげる必要がありますね。
――ホワイトニングの治療にはレーザーも含れるんですか?
いえ、これは別々の治療になりますので個別に相談が必要になるかと思います。
ホワイトニングはたいていの歯医者さんで対応可能なのですが、レーザー機器はそうではないので歯と歯茎の両方を検討している場合は事前に調べておいた方が良いかも知れませんね。
――なるほど。いずれにしても喫煙の影響は歯にも歯茎にもあると。
そうですね。後これはあまり知られていないのですが、お子さんの前でタバコ吸われるとお子さんの歯茎も茶色くなってしまいます。
副流煙の健康リスクもありますし、これはなるべく避けた方が良いかもしれませんね。
ホワイトニングの治療中にタバコは吸える?
――ホワイトニングの治療期間中にタバコを吸っても大丈夫なものですか?
やはり色がついてしまうので、オフィスなら1~2週間、ホームなら2~4週間の治療期間中はできれば禁煙した方が良いですね。
でも、禁煙できるくらいならそもそも吸っていないと思うので現実的には難しいですよね。
なので、せめて治療直後の2~3時間くらいは空けていただくのが良いかと思います。
特にこの時間帯は汚れが抜け落ちた部分にまた入りやすくなっている沈着しやすい状態になりますので。
――ホワイトニングと喫煙は一応両立が可能といえば可能なんですね。
ただ、喫煙しながら並行してホワイトニングもするとなると結果が出るまでの時間と費用はどうしてもかかってきてしまいます。そこはあらかじめご承知おきいただきたいところですね。
それと喫煙する限り着色は免れないので、結婚式だったりのイベントごとであれば1回きりでも良いと思いますが、「色を白くして見た目を良くしたい」という目的であればその辺りのライフスタイルを変えていく方が重要になるのかなと思います。
こんな習慣との相性の悪さも
――ライフスタイルという言葉が出ましたが、喫煙以外で他に気をつけた方が良いことなどはあったりしますか?
はい。色素の付着という意味ではカレーやワインなど色の濃い飲食物もタバコ以上に影響を受けやすいです。なので、治療期間中には口にするものにも注意が必要ですね。
「色の濃い~」という表現だと少し曖昧になるので「服についた時に目立ったり落ちにくいかどうか」を一つの基準として考えて良いと思います。
――飲食物にも気を遣わなければならないのは大変そうですね。
そうは言っても、まったく食べない飲まないというのも難しいですよね。
なので、そういうときは飲食後にお水でお口をゆすいであげるだけでもだいぶ違いはあると思います。
後は欲を言えば毎食後にきちんと歯を磨いてあげるとそれが一番ですね。
最後に…
手厳しい意見になってしまうかも知れませんが、「タバコは吸うけどホワイトニングしたい」というのは「糖尿病は嫌だけどラーメン食べたい」というのに近いものがあります。
どうしても相反するものになってしまうので、もしホワイトニングをするのであればぜひこれを機会に卒煙にもチャレンジしていただければと思いますね。