毛穴の詰まり・黒ずみ・開きに効果あり?クレンジングのメリットとデメリット

箱崎かおり
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箱崎かおり理系美容家

クレンジングと言えばメイク落としに使うことが多いアイテムですが、ネットを見ていると顔の毛穴詰まり、黒ずみ、開きにも効果があるという話も良く目にしますね。

どんな使い方をすれば効果やメリットを最大限引き出せるのか、本当なのかどうかも含めて理系美容家の箱崎かおりさんに教えてもらいました。

そもそもクレンジングの役割とは

クレンジングの役割とは

――当たり前すぎる話かもしれないのですが、そもそもクレンジングってどういう意味があるものなんでしょうか?

そうですね、これは皆さんもご存知の通りメイクを落とすためのアイテムです。

普通の洗顔料では落としきれないメイクや皮脂汚れもしっかり落としてくれる…というのがクレンジングの大きな役割ですね。

メイク汚れの落とし残りはスキンケア化粧品の効果を妨げてしまったり、皮脂が酸化すると肌トラブルにもつながってくるので、メイクの程度に合わせてクレンジングを選ぶのが美肌への近道です。

――最近はメイクをしない方も使っている印象があるのですが、例えば男性が使っても効果があるものですか?

はい。油の汚れは油で落ちやすい性質があるので、皮脂をしっかり落としたい方や日焼け止めを使っていたりするならクレンジングを使ってあげた方が汚れもしっかり落とせます。

後は鼻の角栓など気になるところだけの部分使いといった使い方もありかとは思いますね。

クレンジングを使うメリットとは

クレンジングは「黒ずみ」「詰まり」「開き」に有効?

――今ちょうど角栓の話が出ましたがネットでは良く「毛穴の詰まりや黒ずみに対してもクレンジングが有効」という話も見かけます。これは本当なんでしょうか?

そうですね、この辺は少し話が長くなってしまうので「黒ずみ」「詰まり」「開き」の3つに分けて説明していきますね。

①毛穴の黒ずみについて

毛穴の黒ずみ、その原因は産毛だった

毛穴の黒ずみは角栓の先端が酸化して起きている…と今までは思われていたのですが、実は最近の資生堂の研究で黒ずみは角栓の中に(うぶ)毛が取り込まれているのが原因だと報告されています。

なので、理論上一番手っ取り早く解決するなら顔脱毛してしまうことですね。

――それは初耳ですね…。本当に顔の脱毛で毛穴の黒ずみが解消されるんですか?

はい。まだまだ知っている人が少ない新情報なのですが実はそうなんです。

ただ、顔脱毛はちょっとハードルが高めなので現実的には「角栓自体を作らせない」ことが有効だと考えます。

また、適切なクレンジングで角栓が取れやすいように導いてあげるのもある程度黒ずみ対策には有効なのかなとは思います。

②毛穴の詰まりについて

毛穴詰まりは皮膚刺激が原因で起こる

――毛穴の詰まりの方はどうでしょうか?

毛穴詰まりの原因になっているのは皆さまもご存じの角栓です。

この角栓は皮脂と角質が混ざり合ってできているもので、毛穴付近の肌がターンオーバーするとき角質がポロポロと毛穴の中に落ちていき、皮脂と混ざり合って角栓へと成長していく…という仕組みで発生しています。

これは肌が何らかの刺激を受けると肌の防御反応がはたらき「肌を守らなきゃ!」とターンオーバーが異常に早まることが原因と考えられています。

なので、肌の刺激になっている要素を取り除いてターンオーバーを正常化してあげることが最も大切ですね。

――肌の刺激というのは具体的には…?

原因となる刺激は以下の3つが大きいと考えられます。それぞれ、

  • 摩擦
    洗顔やマッサージの時等に与える過度な刺激
  • 乾燥
    過度な洗浄や保湿不足
  • 太陽光(UV)
    紫外線によるダメージ

という感じですね。

なのでクレンジングで角栓を除去するよりも、根本的に解決するならまずこの刺激になっている要素を解決する必要があるかなと思いますね。

特に良かれと思ってやっているクレンジングによって乾燥や摩擦が起こっているケースもあるので、洗顔時には「洗いすぎない」「こすりすぎない」。

その上でしっかり保湿してあげれば、クレンジングで無理やり除去しなくても毛穴詰まり自体が起こらなくなっていきますよ

③開き毛穴について

開き毛穴が起こる原因は"脂肪酸"

――最後にもう1つ、クレンジングは開き毛穴にも有効と聞いたことがあるのですが…?

実は開き毛穴は実際に毛穴が開いているわけではなくて、すり鉢状になっているのが陰影の関係で開いて見えているだけ…というのが研究の結果でわかっています。

で、なぜこれが起きるのかということだと思いますが、これも実は肌への刺激によって起こっているものなんです。

皮脂は皮膚表面の常在菌に分解されると脂肪酸という物質が発生するのですが、この脂肪酸の一部の成分こそが開き毛穴を引き起こす原因の一つと考えられています。

とはいえ、脂肪酸は肌のpHを調整する成分でもあるので、落としすぎも肌にとってよくありません。適切な頻度でクレンジングや洗顔をすることによって古い皮脂を除去してあげるのがケアとしては大切になってきますね。

常在菌が作り出す脂肪酸を発生させすぎないように、皮脂をある程度フレッシュな状態に保ってあげることができればクレンジングは開き毛穴に有効と言えると思いますよ。

――毛穴の開きは加齢によって起こるイメージも強いですが、これも脂肪酸の仕業ですか?

いえ、加齢による毛穴の開きは全く違うメカニズムで起こる現象なんです。

これはたるみ毛穴と言って、主に肌のたるみが原因で穴が伸びてしまうことで起きるものです。

なので、アプローチの方向性としてはどちらかと言うと肌のたるみケアになってきますね。

肌にハリを出すという点では保湿も有効ですが、たるみは一度起きるとなかなか解決が難しい部分なので、そうなる前にしっかりUVケアしてあげたり、表情筋をしっかり使って顔筋の衰えを抑えることが重要になってくるかなと。

クレンジングのデメリットとは

オイル?ジェル?クレンジングの選び方

――今までお伺いする限りではクレンジングは良いことづくめのイメージですが、逆にデメリットはあったりするんでしょうか?

はい。クレンジングは使い方を間違えると肌の皮脂やセラミドまで落としすぎてしまうことがあります。

そうなると逆に肌の乾燥や刺激の原因を作ってしまうことになるので、これはデメリットですね。

後は洗顔時に摩擦(=刺激)を与えてしまっている方だと、これも肌トラブルの原因につながってくる可能性があります。

――摩擦というのは…?

例えば今ここにあるようなローションやミルクはどちらかと言うと洗浄力がマイルドなタイプになりますが、しっかりメイクなのにクレンジングはこれ…となると、「こすらないと全然落ちない」なんてことになってしまったりします。

なので、そういう場合はオイルを使ってあげたりとメイクによって使うクレンジングを変えてあげる必要がありますね。

ここの選び方さえ間違っていなければ力を入れなくてもメイクを浮かせてスルッと落とすことができるので、「こすりすぎない」意識が大切です。

クレンジングの選び方のポイント

クレンジングにもデメリットがある

――今、色々なクレンジングの種類が出てきましたがクレンジング選びのポイントみたいなものはあったりしますか?

そうですね。基本はしっかりメイクならオイルやバーム、クリームで落として、薄めメイクならローションやミルクという使い分けで良いと思います。

ただ、一番簡単で間違いない方法は「ファンデーションとクレンジングは同じメーカーさんで揃えてあげること」ですね。

やはりメーカーさんは自社のファンデーションが落ちるクレンジングを作っていますから、この組み合わせなら絶対間違いないです。

もしアイメイク(マスカラ)やリップなど落ちにくい箇所がある場合はポイントメイク落としでオフすると肌への負担も少なくなります。

――肌タイプ別ではどうでしょうか?

まず、乾燥肌の人は摩擦が起こりがちなシートやウォータータイプは避けた方が良いかも知れませんね。

あとオイリー肌の方なら脱脂力が高くて油分を取りやすいオイルやクリームが向いてるかとは思います。

ただ、敏感肌の場合はもう少し注意が必要になってきます。

――クレンジングが使えない方も多いと聞きますが…?

そうですね。基本的にクレンジングに入っている界面活性剤は肌刺激がないものなんですけど、洗浄力が高すぎると刺激になってしまう場合があるんです。

なので、刺激の少ないオイルの中でもさらに界面活性剤の少ない製品を選んだり、「キュレル」や「フリープラス」みたいな敏感肌向けのオイルを選んであげてもいいと思います。

それでももし刺激になってしまう方だと、ファンデーションを石けんで落とせるタイプに変えてクレンジングは使わないといった選択肢が合う方もいらっしゃいます。

――なるほど。色々教えていただきありがとうございました。

最後に…

合う化粧品を探すのではなく肌のベースアップを

私は普段日焼け止めを欠かさず塗ってUVケアしたり、洗いすぎに気をつけたりなど、肌への刺激を出来るだけ避けるように心がけています。

その甲斐あってか、肌のゆらぎが少なく化粧品で刺激を感じることはあまり多くありません。

遺伝的な敏感肌でなければ、自分の肌のベース自体を上げてあげることで「様々な化粧品を試すことが出来る肌を目指す方が理想的だと個人的には考えています。

なので、毛穴やお肌のことでお悩みがある場合はまず「乾燥」「UVケア」「摩擦」の3大ダメージ要素からしっかりケアしてみて欲しいです。