腸は栄養を体内に吸収してくれる大切な臓器で、腸の不調は体調不良や老化を引き起こす原因になるので美容にとっても大敵です。
でも、興味はあっても「何をすればいいの?」という方もまだまだ多いと思いますので、今回は腸活の基本のキということで美容家の中澤祐子さんにメリットやおすすめのやり方を教えてもらいました。
腸活とは具体的に何なのか、その効果は
――腸活って最近良く耳にはしますけど、具体的にはどんなものなんでしょう?
腸活とは腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善していこう、というアクションですね。
なのでこの善玉菌が増える食べ物をなるべく摂っていくのが腸活のメインになります。
腸内の細菌は大きく分けて
- 善玉菌
- 悪玉菌
- 日和見菌
の3種類がいるんですけど、割合としては大半が日和見菌で善玉菌と悪玉菌が少しずつという感じになっています。
この日和見菌というのが曲者で善玉と悪玉の多い方に味方してくれる性質があるので、例えば善玉菌1で悪玉菌2だと残り7の日和見菌が悪玉菌の方についてしまうんです。
でも、逆に善玉菌を優勢にできれば多勢の日和見菌を味方につけることもできて体にも多くのメリットが出てきます。なので腸活で善玉菌を多くしてあげたいんですね。
――善玉菌が増えるのはやっぱり体にも良いんですか?
はい。善玉菌が増えて腸内環境が整うと、まずは免疫力が上がって風邪や感染症などにかかりにくくなるのが第一のメリットですね。
体の免疫細胞って実は70%が腸に集まっていて吸収する時に有害な物質を体内に入れないよう見張ってるんですけど、腸内環境が整うことで自然と免疫細胞も元気になっていきます。
さらに、腸内環境が整うと腸のぜん動運動も活発になるので便秘は改善されますし、お腹の張りやおならといった不快な症状も解消されるようになります。
すると便が体内に留まる時間も短くなって毒素を吸収する時間が減るので
- 肌荒れ・体臭・口臭
- 疲労・肥満・不眠
- うつ・アトピー・アレルギー
などなど様々な体の不調も起きにくくなります。腸活で善玉菌を増やすメリットは片手じゃ数え切れないくらいたくさんあるので本当におすすめですよ。
――免疫機能の大半が腸というのは知りませんでした。昨今だと特にコロナにかからないためにも役立ちそうですね。
そうですね。今でも絶対に効く薬というのはまだない状態なので、予防のためにいかに免疫力を高めるかはすごく大事かなと思います。
皆さん普段から免疫には気を遣われている方が多いとは思いますので、その辺りの事情も今腸活が流行ってる大きな理由かもしれませんね。
――体調も目に見えて違ったりするものなんでしょうか?
それは全然違いますね。やはり人間の体は食べ物でできているものなので、食べ物を変えるだけで体も全然変わりますよ。
私の場合は実際に自分の体で試してるのももちろんですけど、お客様にも実践してもらって実際に結果が出ているので結構強く言い切れるっていうのがありますね。
日本だとあんまり予防っていう観点では関心が薄い方が多くて体を壊してからアクションって方が多いんですけど、それを体調不良の段階で食事で早めに治していくっていうイメージです。
腸活の効率を上げるポイントは生菌と死菌
――腸活は善玉菌を増やす、とのことですが具体的にはどんな食べ物が良いんでしょう?
発酵食品から有用菌を摂りつつ餌となる食物繊維も両方併せて食べてあげるのがベストですね。
専門用語で言うとプロバイオティクスとプレバイオティクスと言うんですけど
- プロバイオティクス
有用菌を直接腸に届けてあげるもので、食べ物では納豆やキムチ、チーズをはじめ発酵食品全般。 - プレバイオティクス
有用菌に栄養を補給してあげるもので、食べ物では食物繊維全般やオリゴ糖。
という感じです。
ただ、日本人は乳製品の分解酵素が少なくて苦手な傾向があるので、お腹を下してしまいがちな方はちょっと注意です。
脂質やカロリーが高かったり砂糖が入っていたりすることもありますし、そういうのが気になる方はなるべく自分の体質に合った製品を選ぶと良いかもしれないですね。
――摂れば摂るほど腸内環境には良い?
善玉菌はたくさん食べれば一気に増えるものではなく、どちらかと言うと育てていくものなので一度に無理はせず1日の食事の中で組み合わせてあげる程度でOKです。
例えばお昼が定食だったらお味噌汁や納豆を、夜はオリゴ糖とシリアルのヨーグルトを、と1食につき1品目発酵食品をプラスしてあげるのがおすすめですよ。
もちろん納豆+味噌汁とか組み合わせていただくのが一番ですけど、1日1品目くらいが生活にも取り入れやすく続けやすいですし偏りも起きにくいと思いますので。
腸活で一番大事なのはとにかく長く続けていくことなので、ぜひご自身が続けられるものを無理のない範囲で行ってみてください。
――なるべく未調理の生きた菌を摂った方が良いんでしょうか?
いえ、そんなことはありません。死菌でも腸で善玉菌の餌になってくれることがわかっているので、どちらが重要ということはなくどちらも重要です。
なので死菌でも酵素を使ったファスティングなどが効果もあるしおすすめなんです。
○【ポイントは適切な酵素選びと期間】ファスティングのメリットと正しいやり方
https://bellemoi.jp/beauty/9683/
発酵食品を食べる以外の腸活も重要
――今まで体に取り入れる腸活がメインでしたが、他にも効果を高めるポイントはあったりしますか?
巷では腸マッサージとかも色々紹介されていたりはしますけど、まず一番簡単なのは歩くことですね。
人間の体ってついパーツごとに考えてしまいがちですが全身全部がつながっているものなので、歩けば腸のぜん動運動も促進されて腸活になります。
それに全身の筋肉を使って血液や水分、リンパを全身にまんべんなく循環させてあげることは腸活に限らず美容・健康を保つ上でおすすめです。
――やっぱりその辺りは美容の基本になってくるんですね。
そうですね。それで言うともう1つ欠かせないのは入浴です。
最近はシャワーで済ませてしまう方も多いんですけど、しっかり湯船につかって基礎体温を上げれば消費カロリーも免疫もUPします。
運動、入浴、睡眠とかは当たり前と言えば当たり前のことばかりなんですけど、あらためて取り入れてもらうと腸活の成果も相乗効果でグンと上がってきますよ。
もちろん一番には継続を意識して続けられる範囲のものを取り入れて欲しいですけど、こういうの面倒くさいことって一度サボるとどんどんやらなくなっていってしまうものなので、なるべくおろそかにはしないようにしたいですね。
最後に…
腸活やマクロビオティックって今でこそ流行ってきてますけど、実は10年ほど前までは認知度が低いものでした。
でも、それが口コミだけでここまで広まるようになったのは実際に試して効果が実感できた方が多かったということでもあるんですよね。
かく言う最初は私も半信半疑だったんですけど、実際に末期がんの延命治療に用いられていたり100歳になっても普通に運動している方たちを目の当たりにして「腸ってすごく大事なアンチエイジングの要素だったんだ!」って見直すようになりました。
今人生100年時代って言われてる中で皆さん寿命より健康寿命の方を意識されてるかと思うんですけど、せめてこの記事を見てくれた方くらいはピンピンコロリで生きていただきたいので、歳を取って体調不良を感じている方はぜひご自身の便通や便の状態をチェックしてみて
- 1日1回以上便通がない
- 便の状態が固いor柔らかい
- 食べてないのに全然痩せない
に当てはまるようなら、一度腸について見つめ直してみて欲しいですね。