歳を重ねてくるとどうしても避けられないお尻の垂れやぽっこりお腹…。
「なぜ体型は悪くなってしまうのか」「改善するにはどうすれば良いのか」ヨガトレーナーの五十嵐由奈さんに聞いてみました。
なぜプロポーションが失われてしまう?
――そもそも歳を取ると体型が崩れてしまうのって何が原因なんでしょう?
代謝や食事の変化も大きいですけど、やっぱり一番は姿勢の悪化が大きいですね。なので効率的に痩せるのであれば姿勢の改善が近道だと思います。
姿勢と聞いてもあまりピンと来ないかもしれませんが、例えばデスクワークで同じ姿勢が続いてたり、ヒールで立ち仕事だと足先に体重がかかるので体のバランスも変わってきたりむくみやすくなったり…。
前後左右使う筋肉に偏りがあると知らず知らずのうちに体も傾いていく、その長年の蓄積が姿勢の崩れにも現れてきて最終的には体型の崩れにつながっていってしまうんです。
――逆に言えば姿勢が良ければプロポーションは失われない…?
100%ではないですけど大体はそうですね。正しい姿勢を保とうとすると体幹から大きな筋肉まで色々な筋肉をバランス良く使えますし、体型や健康をキープさせる上ではものすごく大事だったりします。
さらに胸が開いて呼吸が深くなるので肺活量が上がって血液やリンパの巡りも良くなって内臓も活性化されるので意外とメリットがたくさんあるんですよ。
モデルさんとかって細い方しかいないですけど皆さん姿勢がすごく良い方しかいないのは、つまりそういうことですよね。
逆に無意識のうちに寄りかかりがちだったり脚を組みがちだったり…真っ直ぐした姿勢を続けられない方は体幹部が弱まってる可能性が高くて要注意かもしれません。
――加齢はあまり関係なくて原因は姿勢の方なんですね。
そうですね。皆さん意外と「自分は姿勢はそんなに悪くない」と仰るんですけど、気づいていないだけで若い頃に比べて悪くなっている方がほとんどです。
体の疲れや痛み、冷え、むくみ、自律神経の乱れなどなど…体の不調がある方は指摘して初めて「こんなに猫背だったんだ」「ストレートネックだったんだ」という感じですね。
こういう症状って慢性的に起きていると人って慣れてしまうものなので、もし体の不調に思い当たる方は一度チェックしてみても良いかもしれません。
何でも良くなる…と言うと語弊はありますけど、それでも体型も体調もある程度の悩みは大体改善されてくる印象です。
姿勢のチェックと改善のポイントは
――具体的には背筋をピンと伸ばすよう常に意識しておけば良いんでしょうか?
もちろん日常生活の意識も大事なんですけど結局いつの間にか元に戻ってしまうものなので、実際はストレッチや筋トレで少しずつ癖付けしていく形ですね。
体のバランスは人それぞれ違うものなので一概にこれという方法はないのですが、「動かしにくい」「苦手だな」と感じる部分こそ重点的にやってあげてほしいですね。
そういう部分は日常生活でも使えてない弱点という目安でもありますので。後は体の中心にある骨盤はやっぱりベースにはなってくるので、これはどうしても欠かせません。
――言われてみると自分の体の歪みって意外とわからないものですね。これはセルフチェックできたりはするんですか?
- 身長測定の時みたいに壁にぴったり頭と背中、踵をつけて
- 腰と壁の間に指が1本分入らないようだと骨盤後傾で猫背
- 逆に手の平まで入ってしまうようだと骨盤前傾で反り腰
…とは良く言われますけど、実際は自分でやると変に意識して整えちゃったりするので人にチェックしてもらう方がおすすめです。
でも、セルフチェックはあくまで簡単な目安に過ぎないので、できれば専門家に見てもらう方が確実ではありますね。
ジム通いなら常駐のインストラクターの方とかに聞いてみたら気軽に何でも答えてくれると思うので、ぜひ活用してみて欲しいです。
――実際生徒さんは姿勢にアプローチしてみてどうですか?
やはり体重はぐっと下がって体型は良くなっていく方が多いですけど、皆さん「体が疲れなくなった」「体の悩みが減った」とも仰ってます。
姿勢が変わると日常生活の過ごし方も変わってるんだなっていうのは目に見えて違いを感じているみたいですね。
最初は大変かもしれませんが無理してキープしなくても自然とできるようになれば見た目にも美しいですし体型もグッと良くなりますよ。
トレーニングの効果を高めるストレッチ
食事の管理はどうすれば良い?
――ところで食事はやっぱり炭水化物を抜いたりとか減らしたりした方がいいんですか?
いえ、人によって減らしたりした方がいいことももちろんありますけど、基本は体にも必要なものなので完全に抜いてしまうのはNGです。
それを毎日続けるような糖質制限ダイエットみたいなことは健康上の理由とか特別な理由がなければやめておいた方がいいと思います。
炭水化物って抜いてしまうとエネルギー不足になるし精神が不安定になったり心身への悪影響が結構大きいものなんです。
大会に出るような方が抜くデメリットを理解した上で抜くならいいんですけど、普通の方が真似する意味はないですね。
――あと運動したらプロテインみたいな話もよく聞きますけど、飲んだ方が良かったりしますか?
プロテインはただのタンパク質で、それ以上でも以下でもないので取れてなければ取ればいいし、足りているなら特に飲まなくても大丈夫ですよ。
実際私もタンパク質は食事から十分摂取してるのでプロテインとかは飲まないですしね。
――「運動したら即プロテイン!」はボディビルダーの方くらいでないと意味がない?
そうですね。大会出るような方は運動ごとのプロテインとかサプリメントまで気を遣う必要がありますけど普通の方はそこだけ真似しなくてもいいかなとは。
普通の人が普通にトレーニングするくらいであれば飲んだ飲まないで変わってくることはないので、普段の食事での卵やお肉とかで賄ってあげれば十分だと思います。
――炭水化物OKでプロテインは必須でもない…というのは意外ですね。では何を一番気にした方が良いですか?
一番はやっぱりバランスですね。アミノ酸もそうですけど栄養素ってお互いに相互作用があるものなので「これだけ取ればいい」というものではないんです。
足りないのも取りすぎなのもどちらも同じくらい体には良くないことなので、バランスの意識がけは一番大事ですね。
正直炭水化物やプロテインに意識を割くくらいならバランスの方を考えた方が断然体の調子も良くなるとは思います。
――どうしても深夜にラーメンが食べたい時はどうすれば…?
そういう時は逆に食べてしまって良いと思いますよ。
特に女性は生理前は食欲旺盛になりますしホルモンバランスやむくみの影響で2~3kgくらいの増減はどうしても起こってしまうものです。
ただそういう時は食べたいものを食べたいだけ食べるのではなくて、例えば次の日は普段足りていない補いづらい栄養素を多く食べてあげるとか。
毎日「食べたいものを食べたい」が続かないように見極めてコントロールするようにしてあげれば多少は問題ありませんよ。
最後に…
最近は良く「1週間で痩せるダンス」とかがバズってたりしますけど、残念ながら運動も食事もこれだけをやっておけばいいというものはないです。
残念ながらプロポーションの維持・改善はすごく地味で地道なものなので、それはぜひ覚えておいて欲しいですね。
皆さん楽を選びたがる気持ちもわかりますが情報に踊らされたりせず、プロポーションを保つにはまず姿勢の改善から。ぜひチャレンジしてみてください。