効果あり?なし?パーソナルトレーナーが教える加圧トレーニングの嘘・本当

鈴木謙太郎
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鈴木謙太郎パーソナルトレーナー

加圧トレーニングの効果とは

加圧トレーニングは、一言で言えば四肢を専用のバンドで縛って行うトレーニングのことです。

四肢をバンドで程良く加圧をした状態で運動をすると、体には過酷な運動をしたときのような乳酸が溜まってくるのですが、このとき脳がある成長ホルモンを分泌するようになります。

この成長ホルモンは「トレーニングをやっていてもう1回も上がりません」状態のときに初めて分泌されるようなホルモンで、体に筋たんぱくの合成を促して筋肉をつけたり、脂肪をエネルギー化して燃焼させるような効果があるんです。

なので、体に負担の少ない運動でも筋肉がついたり脂肪が落ちたり…というのが加圧トレーニングのメカニズムですね。

効果があるのに廃れてしまった歴史

加圧トレーニングは、きちんと実験をした上で筋力アップ効果が確認されたエビデンスのあるトレーニング方法なんです。

ただ、加圧トレーニングに対して「効果がないものとして廃れてしまった」という印象を持っている方も多いのではないでしょうか?

どうしてそのようなことになってしまったのかというと、実は過去に日本で爆発的な人気となった時に単純に指導者の講習が追いつかなかったというのが背景にあるんですよね。

そうすると、トレーニング経験のない人たちがお金のために使っていいよという許可だけを取って使い始めてしまい、締めすぎてしまって「加圧は危ない」となったり逆に緩すぎてしまって「加圧は効かない」と、結果的に加圧=悪いという図式になってしまった経緯があります。

効果は本当なので実践する価値は高い

なので、うちでも未だに加圧トレーニングを行っているのはひとえに効果が確かであるというところが大きいですね。

ただあまり良いことばかりは言わないで「ウエイトトレーニングと併用した方がいいですよ」「これだけやっても筋肉はつかないですよ」といったことは赤裸々にお伝えしてますが。

加圧トレーニングのメリット

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初心者にこそオススメ

トレーニングが完全に初心者の方にこそオススメなのが加圧トレーニングですね。

というのは、まず初心者の方は正しいトレーニングフォームから作っていきたいのですが、重たいものを持ってしまうとどうしても良くない姿勢で負荷がかかりがちなんですね。

でも、500mlペットボトルくらいの重さだったら一番効率的な正しいフォームでトレーニングが行えるので、質の高いトレーニングが体に身につきやすいです。

後は効果が出るまでストイックに自分を追い込んでいくのは最初は特に難しいので、加圧トレーニングで擬似的に同じ状況を作れてしまうのは単純に効率が良いですね。

怪我をするリスクが低い

また、重さを持たない分だけ関節など身体への負担が少ないので故障リスクが低いというのも大きなメリットです。

例えばギックリ腰を繰り返していて重たいものはもう持てない、高齢で激しい運動ができない、故障後のリハビリに…という人でも加圧トレーニングであればしっかり筋力を確保することができるのは良いですよね。

加圧トレーニングのデメリット

筋肥大というか脂肪燃焼

加圧トレーニングは持つものが軽いと言うだけで実践するトレーニング自体は結構キツいです。だからこそ成長ホルモンが分泌されるので良くも悪くというところですが。

後は、筋肥大という部分についてはやはり従来の重量至上主義なトレーニングの方が有効なので筋肥大を求めるならウェイトトレーニングとの併用が必要ですね。

実際には加圧トレーニングは筋肥大よりも脂肪が燃焼される効果の方が期待できる部分が大きい…と言った方が語弊がないかもしれません。

まあ、それでも女性の方は願ったり叶ったりということで満足される方が多いみたいですが。

トレーナーの腕に左右されやすい

後は、冒頭のとおりですがちゃんとトレーニング経験があるトレーナーが使わないと効果はまず期待できないですね。

筋肉の中に溜まる疲労物質が蓄積されるスピードはすごい早いので、ちょっと無理をさせすぎると貧血を起こして危険だし、逆に緩すぎると効果がないということになってしまいます。

そのあたりのさじ加減がしっかりわかっているトレーナーかどうかというのは成功に大きく左右されるところだと思います。

そうすると「結果、今まで通りの筋トレをやってた方がいいや」となってしまうんですよね。トレーニングの知識もないとダメ、加圧自体の経験もないとダメなので、結構できる人は少ないんです。

加圧トレーニングで効果がない、どうして?

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まず挙げられるのは自己流でやりすぎているとか、専門家の方が実は専門家じゃないとかということですね。

エビデンスはあるんですけど、結局現場レベルで落とし込めてないというのが問題なので、その辺りに原因があることが多いと思います。

効果はあるんだけど日本ではちょっと悲惨な結果を迎えてしまったみたいな感じですかね…。

加圧トレーニングは自宅でもできる?

加圧トレーニングの効果を発揮するためには、足や腕の決められた部分(止血点)を程よく加圧する必要があるので自宅でやるのに難しい部分があるのは事実です。

ただ、最近はシャツとかスパッツにベルトが付いているカーツというグッズもでてきていたりして、個人的にこれは非常に良いアイテムだと思います。

これは、お客さまにお渡しする際に適切な加圧度についてレクチャーしてからお渡しするものなので、安全性も高く日常のウォーキングなどでも活用できて便利ですね。

加圧シャツってどうなの?

ちなみに、加圧というと上半身全体を加圧するピタッとした加圧シャツが思い浮かぶ方もいるかも知れませんが、体全体を加圧しても意味はないのでご注意ください。

まず、日常生活を過ごせるくらいの加圧だったら、それは加圧ではないと知っておいた方が良いかもしれませんね。

だったら「アンダーアーマーを着てる人はみんな筋肥大してるのか」という話になってしまいますし、これはただキツい服を着ているだけと変わらないですよ。

最後に…

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加圧トレーニングは日本では評判を落として廃れてしまいましたが、筋力アップや脂肪燃焼の効果があるのは確かです。

最近はようやく自宅でも実践できる加圧トレーニンググッズが登場してきたりもしていますし、トレーニング初心者の方にこそぜひ実践していただきたいですね。