体を動かす方にとってY字バランスは一度は憧れるステータスみたいなものですが、そもそもこれは誰にでもできるようなものなのでしょうか?
体が硬い方でも練習すれば可能なのか、何日くらいでできるものなのか…などなど、気になる疑問をヨガインストラクターの堀江舞さんに教えてもらいました。
Y字バランスは誰でもできるようになる?
――バレエダンサーでもできない方がいると聞きますが、これは誰でもできるようになるものなのでしょうか?
はい、Y字バランスって実は練習次第で誰でも可能な動きなんです。
必要なのは柔軟性と筋力のバランス感覚だけで、どちらかと言うと体の使い方を覚える感じですね。
もちろん難易度が高くないわけではないのですが、みなさんただチャレンジしてないだけでできる方はできてしまうと思いますよ。
――それは意外ですね。柔軟性が必要なイメージがありましたが、技術的なものなのですか?
そうですね、私が普段教えてるやり方はみなさんが思い描いているY字のやり方は結構違うのかなと思います。
特にダンサーやチアの方とかは結構筋力による力技でグッと上げてしまう方もいるのですが、柔軟性を使ってスッと上げる簡単な方法があるんです。
「股関節を柔らかくすればいい」「脇腹を柔らかくすればいい」だけではなく全身をほぐしてバランスを取らなくてはいけないのですぐにできる動きではないですが、誰でもできる動きではありますよ。
何日くらいでできるようになるもの?気になる期間について
――そうは言っても、できるようになるまでには何日くらいかかるものなのでしょう?
本当に頑張って挑戦してくれれば最短で3ヶ月くらいかと思います。でも、そこまでやれる方はそうそういないので実際は1年くらい見ていただくのが良いかと思いますね。
私のクラスに通っている方々もやはりそれくらいはかかっていますので、1年が1つの目安かなと。
――それは一般の方がやっての1年ですか?
そうですね。チアやダンサー、バレエの方などで柔軟性や体の基礎ができている方であればもっと短期間で習得できるはずですよ。
今Y字バランスが苦手だったり好きな動きじゃないという方でも、もっと簡単に上げられるようになると思います。
もちろん、体が凝ると元に戻ってしまうので凝らないように週1回のレッスンに来てきちんとやっていただく必要はありますけどね。
あなたはどのくらい?ざっくりセルフチェック
――今「これができれば1年かかる」「これができれば半年くらい」といった目安みたいなものはありますか?
まず普通に立った状態で右脚一本を腰の高さまで上げてキープ。これが2秒くらいで上がらなかったり倒れたりする方は1年以上かかってしまうと思いますね。
そういった方はバランスが取れていない状態なので、そこの感覚を掴むところからになります。
もし、右脚の先を両手で持ってキープできるようであれば半年くらいかなという感覚です(柔軟性次第ですが)。
ここまでできる方であれば後は体の柔軟性だけなので短期間で習得できると思います。
右脚を上に上げるまでに必要なのがバランス感覚で、さらに膝を伸ばす動作に必要なのが柔軟性というイメージですね。
Y字バランスができるようになるトレーニング
柔軟性とバランスはどちらも必要なので、両方に効いていくようなメニューをこなしていく形になります。
ストレッチと筋トレのような動きをやっていきますが、重要なのは軸足の親指なのでトレーニングの際にはしっかり意識してみてください。
脚を上げるためのコツ
Y字バランスのとき脚は脱力していて手でスッと上げてるだけなので、脚の上げ方のコツというのは実はあまりありません。床でやる開脚に近いイメージで、そこから普通に開くだけ~という感じですね。
それよりも軸足の指の動きで踏ん張れるかどうかが決まるので、ここは要注意ポイントです。
上げる方の脚には力を入れずに「軸足の指でグッと地面を押して手で脚を持っていく」のをぜひ意識してみてください。
ケガすることも?練習する上での注意点
――練習する上で他にも注意点などはあったりしますか?
ご覧の通り動画のストレッチは負荷の高い練習になるので、腰痛やヘルニア、反り腰など腰に疾患がある方はやめておくか十分に気をつけて実施してください。
やはり急な動きだけに、上げてみた瞬間に「あっ!」となってしまうこともありますので…。
ただ、最初のうちはそもそも無理な動きをすること自体ができないと思うので、腰回りが大丈夫なのであればそこまでの危険はないのかなと思います。
――腰痛やヘルニアなのに頑張ってしまう人が?
それが意外と多いんですよ。そもそもヘルニア自体がトレーニングされてる方に特に多い症状ですから、Y字バランスを目指そうとする方も必然とその割合が多くなります。
ヘルニアは骨が柔軟に動かないことで変なところに負荷がかかって痛くなってしまうんですけど、全部柔らかければ吸収されて外へと逃せるのでケガはしにくいんですよ。
特に反る動きは骨がグッと詰まってしまう動きなので、そういう方こそヨガをやった方がいいんだろうなーとは思っています。
――その他にも良くある”つまづきポイント”はありますか?
強いて言うなら、男性できちんと鍛えてらっしゃる方だと手が真っ直ぐに上がらないとか真横に行かないとか筋肉が邪魔してしまうことがありますね。
特にブレイクダンスをやるようなマッチョな方は肩が強すぎて巻き肩になってしまっていたりお尻も硬かったりとか、「物理的に筋力を落とさないと無理かも」ということがあります。
もちろん、これは男性に限った話で女性の方ではそうそういらっしゃらないですけどね。
最後に…
実はヨガにはY字バランスと同じポーズがあるので、ヨガをやっていれば勝手に体が柔らかくなって自然とできてしまうようなものでもあります。
ヨガは腰痛やヘルニアのリハビリにもなりますし、怪我もしにくくなってプロポーションも美しくなったりと割といいことづくめです。
Y字バランスに挑戦したい方はもちろん、肩こりや偏頭痛、生理痛などなど体の不調に悩んでいるのであればぜひヨガをおすすめしたいですね。