卒乳後のバストのトラブルはナイトブラで改善できる…という話は良く聞きますが、実際産後のナイトブラにはどんな効果があるものなのでしょうか?
おすすめのバストケアからナイトブラの選び方まで、なかなか人には聞けないお話をランジェリースタイリストの中津亜美さんに教えてもらいました。
胸が干し柿のようにしわしわに…?卒乳後のバストケアにご注意
――卒乳後のバストって色々トラブルが起きがちなイメージですが、実際に寄せられるお悩みは何が多いですか?
やはり悩まれる方が一番多いのはハリ、しぼみ、たれの3つですね。
おっぱいは授乳が落ち着いてくると発達していた乳腺が一気に元のサイズに戻っていくので、どうしても授乳前よりサイズダウンしたり質感も変わっていってしまいます。
よくものすごく太った方が一気にダイエットするとお腹の皮が余ったりしますが、ちょうどそんなイメージですね。
実は私も10~20代にかけての出産でのべ6年間まともにケアをしなかったらバストが干し柿みたいになってしまって…。
――10代でバストが干し柿とは…。そういった症状はその後改善はするものでしょうか?
はい、私自身も「本当になにもなくなった」状態から今では理想的なお椀型にだいぶ近づいてきましたし、きちんとケアしてあげればバストの状態も全然違いますよ。
私は放っておいた期間が長かったので戻すのもすごく長い時間がかかってしまいましたが、ケアは早く始めれば始めるほどバストが傷みにくい上に回復も早いです。
なので、ぜひみなさんには対策を知っていただいた上でしっかりケアしていただきたいですね。
――実はただ回復が遅いだけで、バストケアしなくてもいつかは戻るものだったり…?
全く戻らないというわけではないですが、ケアを怠ることでハリ、しぼみ、たれは進んでしまう可能性がやはりあるかなと思います。
ハリやサイズなら栄養や保湿、マッサージで比較的ケアしやすいですが、特に垂れや削げだけは一度起きてしまうともう元に戻ることがありません。
これは、おっぱいを支えているクーパー靭帯がどんどんダメージを受けて起きるものなので、予防的にしっかりケアしてあげる必要があるんです。
――二度と戻らないんですね…。そうなると卒乳後と言わず妊娠・授乳中から対策した方が良いのでは?
もちろん、都度適切なサイズのブラをつけて保護してあげる方が理想的ではあります。
でも妊娠中はつわりとの戦いでもありますし、バストのサイズも日毎に変化するので常に適切なブラを着け続けるのは実際かなり難しいと思います。
なので、授乳中は無理せず体に楽で負担ないものを選んでいただいて、授乳が落ち着いてきた頃からきちんとしたブラを着けてバストケアを始めていくのがおすすめですね。
産後のバストケア、ナイトブラにはどんな効果が?
――例えばナイトブラなどは着けた方が良いものなんでしょうか?
マストではありませんが、出産とバストの変化で体がダメージを負っている状態なのでケアの観点から私は着けた方が良いと思います。
ナイトブラには寝ているときの横に流れたり上に流れたりというバストの動きを支えてくれる役割がありますから、クーパー靭帯の伸び(=たれ)もしっかり食い止めてくれますよ。
加えて睡眠の質を高める効果もあるので、22:00~2:00の睡眠のゴールデンタイムにもホルモン分泌をしっかり促してくれます。
――昼用ブラと夜用ブラの重要度を割合で言うとどのくらいでしょう?
重要さの割合で言うとだいたい昼用8:夜用2くらいの影響度ですかね。
ちなみに「夜も保護した方が良い」と聞くと昼用ブラを着けて寝ようとする方がたまにいらっしゃるのですが、これはNGです。
寝る時も昼間と同じ締め付けを続けてしまうとリンパの流れや血流を阻害してしまうので、それなら着けない方がまだマシなくらいですね。
――締め付けないけどもサポートはしてくれると?
はい、矛盾しているようにも聞こえるかもしれませんが日中の激しい動きに比べて夜は寝返りを打つくらいなので支えるのも少ない力で十分なんです。
1つ選び方の目安としては「朝起きたときに下着の跡がついてないかどうか」の基準でキツくない着用感の商品を選ぶのがおすすめですよ。
昼用・夜用それぞれのブラジャーの選び方
――選び方について話がありましたが、この部分をもう少し詳しくお伺いしても良いですか?
はい。バストケアの観点から考えるとブラは昼用・夜用どちらも大事なものなので、それぞれについて説明していきますね。
昼用ブラ選びのポイントは3つ
細かいポイントはたくさんあるのですが、特に大事なのはサイズ、位置、形の3つです。これが1つでも違うだけで効果はもう全然なかったりするので、まずは体に合ったブラを着けるのが第一ですね。
位置
まず一番大事なのは、バストの下側半分(バージスライン)がブラと隙間なくフィットしているかどうかです。
下側半分をブラの上から触ったとき隙間があるようではNGで、「これ以上上がらない!」くらいの位置が一番ピッタリな位置になります。
自分自身では違和感がなくても実際は下寄りに着けてしまっている方がほとんどなので要注意ポイントです。
形
産後のママさんはバストの上側半分の膨らみが削げてしまうことが多く、今まで使っていたブラのカップがカパカパ空いてしまうことがあります。
これはクーパー靭帯のダメージによるもので、隙間ができるとさらに中で動きやすくなってクーパー靭帯が~と悪循環へとつながりがちです。
なので、カパカパしているなと感じる場合は柔らかく胸に沿うタイプやストラップとつながる部分が太くなっているタイプなど上側半分をカバーしやすいタイプを選んであげましょう。
特にこのときのNG行動は「ブラが大きすぎるから隙間ができるんだ」と勘違いして単純にブラのサイズだけを下げてしまうことです。
本来必要なサイズに対して小さいブラを付けると
- バストが押されて形が崩れたり
- 血行が悪くなることで姿勢への悪影響が出たり
といったリスクがあるので、これも要注意ポイントです。
サイズ
こういったことから、今の体に合った適切なサイズのブラ選びが実はすごく重要になります。
一見サイズに変わりはなくてもお肉自体が柔らかくなっていたりもするので、結局今まで使っていたブラでは体に合わないことが多いです。
これら3つのポイントはどれが欠けてもダメなので、卒乳後はあらためてブラを選び直していただく方が良いのかなとは思います。
ナイトブラに選び方の基準はあるのか
期待したい機能は横流れや上流れの防止なので、きちんとそういう機能をもつ商品なのかを確認してみて欲しいですね。
肌当たりが良いものは肌刺激にもなりにくいので、カップ部分だけでもシルクやコットン製のもの、縫い目部分がなめらかな縫製(くるみ仕様)のタイプはおすすめです。
後は何と言っても試着ですね。結局すごく色々な機能を謳っていても自分の体にぴったりフィットしなければ意味がありませんからね。
「脇に当たってすごくキツい」「寝てる時にずり上がってきそう」など着けてみて初めて分かることも多いですし、他にも以下のポイントも併せてチェックしてみてください。
試着できない場合
特に通販の場合だと思いますが、最近は「サイズが合わなければ返品対応」というショップさんも増えてきているので返品対応可のショップさんで購入されると失敗しにくいのかなと思います。
S・M・Lのサイズ選びについて
基本は製品の表記を目安に選んでいただくことになりますが、もし迷うことがあればワンサイズ上を選んでいただくとハズレが少ないのかなと思います。
大まかにはC~DカップがSとM、D~EカップがMとLの境界になりますので、このあたりのサイズ感の方は商品選びは吟味された方が良いですね。
また、ボリュームはあるけどアンダーは小さい方などはワコールなどあらかじめサイズ展開豊富なブランドから選ばれる方が失敗しにくいですよ。
陥りがちな落とし穴ポイント
ナイトブラはスポーツブラみたいな形の商品が多いので、脇などからお肉がはみ出てしまう方が多いです。
バストが出ちゃうということは本来よりもキツくなってしまっている可能性があるので、サイズ選びはそこもしっかり加味した上で購入されるのが良いと思います。
簡単回復、卒乳後のおすすめバストケア習慣
――ブラ以外にバストを回復させる方法はありますか?
やはりバストアップとなると下着だけでは不十分なので、摂取する栄養や体の歪み、マッサージなども重要になってきます。
やれることはすごくたくさんあるのですが、続けられないようでは意味がないので今から紹介するごく簡単なケアから始めて、まずこれを習慣化してみてください。
バストの回復は長期戦になりますが、それでも2ヶ月、3ヶ月と続けていくうちに効果が実感できると思います。
これは干し柿だった私がバストケア・バストアップに取り組む中で実際に効果を実感できて簡単だったものなので、ぜひ参考にしてみてください。
マッサージ
バストは乳腺の周りに脂肪が付着する仕組みになっていて、乳腺は育てられませんがマッサージで刺激して脂肪をつきやすくしてあげることができます。
と言っても、ブラをつける直前にバストクリームを着けて20回ほど両手で擦るようにしてマッサージしてあげるだけ。
クリームがあった方がハリ対策にもなっておすすめですが、ブラにクリームが付着するので衛生面の問題から洗濯は必ず毎日してください。ナイトブラは洗い替えのために最低でも3枚以上は用意があった方が便利ですね。
また、脇の下あたりにある腋窩リンパ節に老廃物が詰まってることも多いので、ここもしっかりほぐしてあげましょう。
これはお風呂で体洗うついでにボディソープ着けた状態で片手間OKです。
栄養
バランスの取れた食事はもちろんですが、その中でも特に気を遣っていただきたいのは水分、タンパク質、鉄分の3つです。
これらの栄養素はおっぱいとして取られていきハリにも影響する成分ですが、特にタンパク質は(自分の体重)g+20gとたくさん必要な割に相当意識しないと取れない栄養素なので注意が必要です。
必要に応じてプロテインやサプリも使って補ってあげましょう。特に鉄も一緒に取れるようなプロテインはタンパク質、鉄、水分の全部が取れるのでオールインワンで結構おすすめです。
姿勢を正す
子育て中はついついおっぱいやだっこで猫背が定着してしまいがちです。
体が前かがみになるのが癖づくとバストダウンにつながるのはもちろん、血流やリンパの流れも悪くなってしまいます。
なので、大変だとは思いますが生活の中で姿勢を良くしたり体や骨盤の歪みをとってあげたり~というのは意識的に行って欲しいものですね。
○ポイントは大胸筋!毎日できる簡単バストアップ・美乳のヨガポーズ
https://bellemoi.jp/beauty/4735/
○産後の骨盤開きに効く!動画で見ながら学ぶ骨盤矯正のヨガポーズ
https://bellemoi.jp/health/4719/
最後に…
特に卒乳後のバストアップに関しては結構大変で下着、姿勢、栄養、マッサージのどれが欠けても全く意味がなくなってしまいます。
全部やるのは大変かもしれませんが、するとしないでは後々になってすごく違いとなって現れてくる部分でもありますのでぜひケアは早めから実践してみてください。
また、「下着はどうでもいいや」みたいなママさんも結構多いですが、きちんとバストケアしてランジェリーにもこだわって生活をすると面白いことに気持ちも前向きになって生活の質も上がってくるものです。
出産・育児でボディラインが崩れてしまったり自信なくしている方にも、これからママになる方たちにも効果がある習慣なので、ぜひ取り入れて「女性としての自分」をまた大切にしてみて欲しいですね。