【プロ直伝】ジムや筋トレのトレーニング効果と回復力を高める運動前・運動後ストレッチ

五十嵐由奈
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五十嵐由奈ヨガトレーナー

ストレッチって何となく体に良いイメージがあって学生の頃からやってますけど、どんな効果があるのか詳しいことは意外と知らなかったりしますよね。

そこで今回はヨガトレーナーの五十嵐由奈さんに運動前・運動後それぞれのストレッチについて具体的にどんな意味やメリットがあるのかを聞いてみました。

運動前のストレッチの意味や目的

運動前ストレッチのメリット

――運動前のストレッチって何となく体に良いイメージはありますけど、実際どういう意味があるんでしょう?

まずは皆さんご想像の通り、第一には心臓の負担を減らしたりケガのリスクを減らしたりという効果がありますね。

冷えて硬い平常状態から急に心拍数を高めるような運動をしても、どうしても動きは鈍いですし硬いところに負荷をかけるとそれだけケガのリスクが出てきます。

なので、アップとしてストレッチで体を温めつつ全身にしっかり血液を循環させてあげることで高い強度の運動も安全に行うことができるようになります。

――ジョギングで温めるのでは不十分?

ストレッチには他にも柔軟性を増して体の可動域も広くしてくれるストレッチにしかない効果もあります。

可動域が広くなればより正しく体が使えてフォームも改善されてくるので、結果的に短い時間で効果の高い効率的なトレーニングができるようにもなるんです。

本当に正しく効かせたいところに効かせられていれば筋肉のつき方や質も変わってくるので、ストレッチ一つとってもやるとやらないでは大きな差が出てきてしまいますね。

これは意外とあまり知られていない第二の大きな効果だと思います。

どのくらいの時間・強度でやれば良い?

運動前ストレッチのメニューや時間は

――ストレッチだけでそこまで大きな差が出るとは知りませんでした…。そうなると運動前は結構入念に行った方が良いものですか?

いえ、学校の体育でやっていたようなストレッチを10~15分ほど行ってあげるだけで十分ですよ。その日トレーニングで動かす部位にもよりますが

  • 上半身重視なら…
    お尻、お腹、胸、背中を重視
  • 下半身重視なら…
    足、お尻重視
  • 全身なら…
    足、お尻、お腹、胸、背中を重視

という感じで体の主要な部位を伸ばしてあげる感じですね。

後は運動が久しぶりで慣れてない方はもう+5分、逆に運動習慣のある方はもう少しサクッと-5分と体の状態に合わせて微調整してみてください。

――意外と短くて大丈夫なんですね。やればやるほどトレーニングの効果も高まるかと思いました。

普通にジムで動くくらいの強度の運動ならそれ以上時間をかけても…というところはあるので10~15分程度で大丈夫だと思います。

ただ、「今日はこのトレーニングをするから、そのためにこのストレッチをやる」と目的を持った方が効果も断然上がってくるものなので、余裕があればぜひ意識してみて欲しいですね。

おすすめの運動前ストレッチ

運動後のストレッチの意味や目的

運動後ストレッチのメリット

――では逆に運動後のストレッチにはどういう意味があるんでしょう?

こちらも第一には、少しずつ心拍数を下げてクールダウンしてあげることで心臓の負担を減らす効果があります。

後は翌日に疲労を持ち越さないのも大きくて、やるのとやらないのでは疲れ方も全然違ってきますね。

使ったところをあらためてストレッチをかけて酸素や栄養素を全身にくまなく届けてあげることで傷んだ筋肉の回復力もだいぶ変わってきますし痛みも和らぎます。

筋肉を解したり体を温めたり疲れを取ったり…個人的には運動後のストレッチは湯船に浸かるのと同じくらい大事かなと思ってますよ。

――ウォーキングやジョギング程度でもクールダウンはやってあげた方が良い?

そうですね、ウォーキングやジョギングも意外と脚を使っているのでやってあげた方がいいと思います。

ただでさせ普段私たちは重力に逆らって生きていて夕方や夜になると脚のむくみが起きたりするくらいですからね。

脚に負荷をかけた疲れを残さないためにも使いっぱなしじゃなくてしっかりケアしてあげた方が疲労も負担も軽減されやすいです。

どのくらいの時間・強度でやれば良い?

運動後ストレッチのメニューや時間は

――運動後も学校でやっていたようなストレッチでOK?

そうですね。ただ、クールダウンなので反動や勢いをつけたり反復したりはNGです。

深く呼吸しながらゆっくり時間をかけてじんわりじんわり使った部位を伸ばして解してみてください。

――メニューはヨガっぽく変えた方がいいですか?

いえ、深くじんわり効いてさえいればメニューは運動前のウォーミングアップと同じでも全然大丈夫です。

むしろ運動前と運動後で同じストレッチをしてあげる方が体のビフォーアフターの変化も感じやすいと思うので個人的にはおすすめですね。

――時間的には10~15分くらいの目安で大丈夫ですか?

長くキープする分時間もかかりがちではあるので気持ち多めに時間を取ってあげた方がゆっくりできますが、そこは自由でいいと思います。

5分しかなければその中で念入りに行えば良いし、30分時間が余ったなら30分じっくり使ってあげても大丈夫ですよ。

ストレッチのやりすぎでケガをしてしまうことってほとんどないので。

おすすめの運動後ストレッチ

ストレッチの効果をさらに高めるポイント

動的ストレッチと静的ストレッチの使い分け

――ストレッチには静的ストレッチと動的ストレッチの2種類があって使い分けた方が効果が高いって本当ですか?

基本的には運動前は動的ストレッチ、運動後は静的ストレッチの方が良いかなとは思いますが、そこは年齢、運動強度、運動頻度で変わってくる部分なので一概には言えないですね。

動的:反動つけたり反復させるような
静的:深くキープするような

特に運動前ストレッチはどちらかと言うと体の状態に合わせて調整する方が大事なので、あまりこだわらず使い分けてみてください。

――となると運動後の動的ストレッチもありだったり?

いえ、クールダウンなので運動後だけは静的ストレッチの方をにしてあげてほしいですね。

――ありがとうございます。あと、動的でも静的でも脚からやった方がいいとも聞くのですがこれは…?

私も生徒さんにはストレッチは脚からやってもらってますね。

心臓から遠い部分から動かすことで負担になりにくいというのもありますし、脚が人間の体のパーツで一番筋肉量が多い部分なので脚から動かしてあげると体温も効率的に上がりやすいんです。

後は余裕があれば足裏の心臓の反射区(ツボ)も刺激してあげると心臓のポンプ機能がより高まるのでおすすめです。

脚ひいては下半身は体の土台になっている部分でやって損することはないので脚からやるのはすごくいいと思いますよ。

動的ストレッチは故障に注意

――他にも運動前後問わず気をつけた方が良いことはありますか?

ストレッチで体を傷めてしまうことはめったにないんですけど、特に反動をつけたりする場合は無理をしすぎないでください。

つい張り切って頑張りすぎてしまう方も多いですし、運動習慣がなかったりすると色々と慣れていない部分も多いと思うので。

「ちょっと温まったかな」くらいの心地良い程度でストレッチかけてあげた方が長続きもしやすいですよ。

最後に…

ストレッチなしのトレーニングは急がば回れ

ジムに来たら「即マシン」「即帰宅」と早る気持ちもわかりますが、ストレッチにはトレーニングの効果も大幅に高めてくれるものなので、そこはグッと抑えてしっかり体を解しましょう。

ただ正直言うと初心者の方ならストレッチもトレーニングもトレーナーに見てもらった方が絶対的にいいとは思います。

もしジムなどに通っていたらわからないことは全然気軽に話しかけてみていただいて大丈夫ですし、そうした方が運動する目的も達成しやすいと思いますよ。