現代人はつい長時間勤務とストレスで心と身体に多大な疲労を抱えがちなので、20代・30代でまだ若いのに「週末休んでも日々の疲れが全然取れない…」なんてことも珍しくはなくなってきました。
何とかその両方を短時間で効率的に取る方法はないものか…、ヨガインストラクターの國府谷沙織さんに疲れの取り方を教えてもらいました。
どうしてまだ若いのに疲れやすい?
身体の疲れ編
――私もまだアラサーなんですけど、土日しっかり休んでるのに疲れやすいのはどうしてなんでしょうか…?
現代人の慢性的な身体の疲れは運動して疲れたのとはちょっと性質が違うので、週末横になって過ごしたぐらいでは全然治らないんですよ。
先に結論から言うと、この原因は運動不足にあるので実は逆に動いてあげた方が疲労は取れやすいです。「学校以来運動した記憶がない」なんて方は体力の衰えでかなり疲れやすい身体になっているかもしれませんね。
もちろん灰のように何もしない日もたまには全然いいと思いますけど、ゆっくりした次の日はちょっと運動してみようとか週1回でも身体を動かす習慣があると違うのかなと思います。
――うっ、確かにもう10年近く運動らしい運動はしたことがないかも…。でも運動で疲れが取れるって一体どういう原理なんですか?
そもそも慢性的な痛み・むくみ・だるさは身体に余計な老廃物が溜まってしまうことで引き起こされています。
一方、筋肉にはポンプ作用という動くときの伸び縮みで体液を循環させてくれる効果があるので、しっかり動かして血流を改善すれば老廃物もすっかり押し流されて疲れ知らずの身体になれるというわけです。
よく脚は第二の心臓と言われますが、下半身や体幹の筋肉は上半身に比べて大きいものが多いのでまずはここを動かしてあげるのが効率的ですね。
――そうなんですか?毎日通勤で歩いてますけど疲れが溜まる一方な気しかしないんですが…。
ウォーキングのポイントは姿勢や呼吸なので、それは意識してリズミカルに歩かないと疲労回復には意味はないんですよ。
また、歩き終わった後にきちんとストレッチで身体をほぐして歪みを取らなければ結局バランスの悪い筋肉を積み重ねて姿勢をさらに悪化させるだけで逆効果です。
疲れはこのストレッチをするしないが本当に大事なので、お昼休みに10分でもいいからストレッチでほぐしてあげると姿勢も改善されるし疲れにくくなると思います。
――色々とコツがあるんですね。ちなみに効果はそんなに違うものなんですか?
全然違いますね。例えば私の生徒さんだと上は80歳くらいの方までいらっしゃるんですけど、本当に筋力も体力も30代のOLさん以上に全然ある方ばっかりです。
身体はきちんとケアしてあげることで本当に年齢関係なくいつでも変えられるものだと思いますよ。
心の疲れ編
――精神的な疲れを感じてる場合もストレッチですか?
精神的な疲れの場合は1日5分でも10分でも本当に心をまっさらに空っぽにする時間を作るのが大事です。
例えばアロマを焚いたり好きな音楽をゆっくり聞いたり息抜きのための自分時間を作ってみて欲しいですが…、実は動いて身体の疲れを取りながら心の疲れも取れるのがヨガの良いところなんです。
最初は動くのに精一杯かもしれませんが、同じ動きを延々と繰り返していると自然と身体を動かしながら心が無になれる時間が作れるようになりますよ。
しかも、「ストレスをリセットしたいとき用」「仕事でミスして引きずってしまってるとき用」などなどバリエーションも豊富なので引き出しを増やせば色々なパターンに応じて対応ができるようになります。
ヨガは本当に現代社会の身体と心の疲れを取るのにとても優れているんですよね。
【動画】目的別・疲れを解消するヨガのポーズ
①心と身体の疲れを解消するヨガ
まず一番におすすめなのはヨガの基本としておなじみの太陽礼拝です。
太陽礼拝は「動く瞑想」とも言われていて全身の筋肉を鍛えられてほぐせる上に心までリラックスできる万能ポーズになります。
ただ、太陽礼拝は全部教えるとものすごく長くなってしまうので、今回はその中から5分でできる”絶対に効くポーズ”を2つだけご紹介します。
もし慣れてきて物足りなさを感じてきたら、その時はぜひ本当の太陽礼拝にもチャレンジしてみてください。
心身の疲れを効率的に癒せるポーズ
大事なポイントは呼吸で、筋肉は息を吐いている時に伸びて吸っている時に硬くなる性質があるので同じ形が作れなくても呼吸だけはしっかり意識してください。
慣れてくるまでは動くだけで精一杯かもしれませんが、何回も繰り返すうちに不思議と「瞑想状態で動いてる」ような感じになっていきますよ。
②疲れにくい心を身体を作るヨガ
また、疲れにくい身体を作るために1分で体幹を効率的に鍛えられるヨガのポーズもあります。もし、もう数分余裕があればぜひこちらのポーズも併せて行ってみてください。
心身の疲れを疲れにくい身体に導くポーズ
一見するとただのプランクですが、これも大事なポイントは呼吸になります。無理せず膝を付きながらでも良いのでしっかり吸って吐いてのタイミングを意識してみてください。
このポーズには体幹を鍛えつつ全身の歪みも解消する効果があるので、続けていけば体幹をしっかり使えるようになって姿勢も良くなり疲れにくい身体へと変わっていきますよ。
最初は辛いかもしれませんが、心身の改善が見えてくるとすごい楽しくなってくるのでそれまでは少し我慢ですね。
③熟眠に導き1日の疲れをしっかり癒やすヨガ
さらに、もし夜寝る前にあれこれ考えてしまって眠れない場合は以下のポーズもおすすめです。
身体を入眠に導くヨガの呼吸法
もしこの時、心を無にできなくて「仕事どうしよう」「何食べよう」とどうしても考えてしまう方はそんな自分を焦らずに観察してみてください。
「あっ、今自分はこういうことが気になってるんだな」というのをもう1人自分がいるような感覚で見つめてみると自然と無になりやすいと思います。
きちんとできれば不思議と心が癒やされて嫌なことも辛いことも全部気にならなくなっていくので、誰でも簡単にできる眠るときの呼吸法はぜひ活用してみてください。
日常生活でも行えるワンポイント
――他にも日常生活の中でやった方が良いことはありますか?
今までは運動だけの話でしたが、実は運動と同じ以上に大事なのが食事と睡眠になります。配分で言うと運動が全体の3割なら残りの4割が睡眠で3割が食事ですね。
――実は一番大事なのは睡眠なんですね。
はい。日中のダメージは寝ているときに全部身体が頑張って修復するものなので、やっぱり寝なければ私でも疲労は回復し切れないですね。
睡眠は時間や質が大事なのは言わずもがなですけど、意外と疲れている方が皆さん見逃しがちなのが寝具です。
人間の身体は寝ている間もある程度は緊張しているもので、その間も内臓を支えたり失禁を防いでいたりしてくれていますよね。
しかし、寝具が悪いとこの緊張が必要以上に高まってしまい寝ているはずなのに疲れが取れないとなってしまいます。
――確かに合わない布団だと何時間寝ても寝た気がしないですね。
高いマットレスはお金はかかりますが運動のように時間はかけずに疲れを癒やすことができるので絶対にこだわりたいポイントです。
もちろん色々試した中で今の布団が一番自分の身体に合っているならいいと思いますけど、やはり高いマットレスの方が眠りの質も高めやすいので人生の3分の1を過ごす場所と思ってお金をかけてみて欲しいですね。
――これは割と簡単に改善しやすいですね。食事の方も何かポイントが?
若い方はシンプルに生活習慣が悪い方が多いので、そこを少し改善するだけでもだいぶ健康に近づくと思います。
例えば暴飲暴食しがちだったり逆に何も食べなかったり、食べててもコンビニや外食に頼り切りだったり…。人間の身体は口にしたもので形作られているので、そこもやっぱり重要です。
料理は1日5分で…とはいきませんが、なるべく一品だけでも身体にちゃんと栄養があるもの食べたいですよね。
――ありがとうございます。後、ちなみに水は飲んだ方が身体にいいというのは本当ですか?
はい。最初に全身の巡りの話をしましたがヨガで身体をストレッチしても新しい水分を入れなければ、身体が水分不足と勘違いして老廃物を流さないように頑張ってしまうんです。
逆に言えば水を飲むだけで強制的に老廃物を流して循環できるとも言えるかもしれません。
スムーズに身体の老廃物が流れる環境を整えるためにも、水は絶対に飲んだ方がいいですね。
ヨガは現代社会の疲れを効率的に癒せる便利ツール
私も昔ダンサーやってたときは、多忙な上にボディケアもあまりせず体調不良で最悪の循環だったことがありました。
そんな中、心身が限界になってしまって癒やさなければと思って始めたのがヨガだったのですが、それ以降は本当に疲れにくくなって自然と健康的な生活が送れるようになっています。
それに身体が整ってきた今では必要なときに必要なことだけをするようになって必ずしも毎日しなければならないものというわけでもないんです。
ヨガはストレッチにはない心もリラックスできる点では本当に現代社会の疲れの癒しに特化しているし、だからこそこれだけ流行ってるのかなとも思います。
スピリチュアルな感じが嫌で敬遠されてる方もいるかもしれませんが、本当に効率的に身体を変えることができるので騙されたと思ってまずは1ヶ月。ぜひチャレンジしてみてください。