生理と並んで世の女性の大半が悩んでいる、けどなかなか改善できない身近なトラブル・冷え性。
統計では実に7割もの女性が抱えると言われますが、実はこれ大半の方であるものが足りないために起こると言われています。
そこで今回はヨガインストラクターの國府谷沙織さんにその原因と解決策について詳しく教えてもらいました。
手足が冷たくて夜も眠れない…一体どうして?
――実は私も冷え性で、冬の下半身はレッグウォーマー、湯たんぽにブランケット2枚重ねとフル装備なんですが…なぜこうも体が冷たいんでしょうか?
実は冷え性は体の血行が悪いがために起きているもので、血液が末端の毛細血管まで流れてないので冷えている状態です。
血液にももらえる順番があるのですが、これは生命維持に関わる内臓の方が当然優先なので、どうしても手足の遠くは後回しになりがちなんですね。
逆に言えば、冷え性は内臓で手一杯で末端にまで回す余裕がないくらい血流が悪化した状況とも言えるかもしれません。
なので、冷えがあると大体こんな体調不良(不定愁訴)を持っている方が多いです。身に覚えがある方は要注意ですね。
- イライラしやすい、鬱っぽくなりやすい
- 頭痛、背中や肩の痛み
- 疲れが取れない、低体温、免疫が弱い
- 血圧が下がらない、寒いのに発汗が止まらない
- めまい、しびれ
- 痩せすぎ、手足の冷え、むくみ、月経不順、不妊
――以前の話では自立神経も関係してると聞きましたが?
確かに現代人は冷暖房を使うのが普通になっていて自律神経の体温調節機能がうまく働かなくなってる方が多いのは事実です。
ただ、順番的には「血行が悪いから冷える」ために「自律神経が乱れる」のであって
- 血流が悪くなって体が冷える
- 冷えると自律神経が乱れる
- 副交感神経優位になりにくいので睡眠の質が悪くなる
- 寝ても体が休まらないので疲れが取れず溜まっていく
と悪循環になっていくイメージです。
――一体なぜ血流が悪くなってしまったんでしょう…?
まず女性の場合は運動不足によるものが圧倒的に多いです。
女性の体は14歳頃で基礎代謝がピークに達するんですけど、そこからはどんどん下がっていく一方なので必ず意識的に運動する必要があります。
でも実際運動するのは高校の体育の授業くらいまでで、それ以降は運動しない方がほとんどですよね。
具体的にはインナーマッスルを鍛えて内臓からしっかり温める必要があるんですけど、そこが年々弱まっていくので血流が悪くなって、自律神経が乱れて…とつながっていきます。
――それは意外ですね…。大体何割くらいの方が当てはまるものですか?
7~8割くらいの方は運動不足だろうという感じがしますので、ほぼほぼですね。
特に女性は血液を送り込む筋肉自体が男性より細くて少ないので、だから女性は冷え性が起こりがちなんです。
意外な落とし穴「運動習慣がある=大丈夫」ではない
――改善するには何かしら運動しておけば大丈夫ですか?
いえ、実はそれが意外な落とし穴で運動習慣がある方でもアプローチを間違えていると体質改善には意味がなかったりします。
例えば「ウォーキングしてる」「ジムに通ってる」だけではダメで、体質改善に必要なのはまずストレッチ、次いでインナーマッスルの2つのみになります。
インナーマッスルを柔軟に使えなければ冷え性の改善にはプラスには働かないので運動なら何でもいいわけではないんですよ。
――運動すれば体温も上がりそうなものですが、なぜ意味がないんでしょう?
インナーもアウターもトレーニング前後にストレッチをしてフラットな状態を作ってあげて初めて質の良い筋肉がついてくるからです。
土台が悪いところから筋肉をつけてもバランスがさらに悪くなるだけで、むしろ痩せにくい体になったり逆効果なんです。これは結構知らない方が多いかもしれませんね。
――ストレッチだけが特別なんですか?
ストレッチは伸ばすこと自体が血流改善になりますし、加えて身体の可動域が変わってくるので血流もより深くまで行き渡るようになります。
その上でインナーマッスルにアプローチしてあげると内臓を自分で温められるようになれるので、そこで初めて全身にくまなく体温が配れる余裕が出てきます。
――なるほど、ストレッチとインナーマッスルにはそんな役割があるんですね。体調不良も歳のせいかもと思っていましたが、そうではないんですね。
そうですね。だからインナーマッスル中心に使うヨガを始めると見た目は変わらないのに冷え性や体調不良が改善される方が多いんです。
しかも運動と言ってもそこまで大変なものは必要なくて本当に最低限の動きとストレッチだけでいいんですけど、逆に言えばそれさえもできていない人の方が多いということでもありますね…。
インナーマッスルはアウターマッスルと違って一度ついてしまえば落ちにくい性質の筋肉なので、ぜひこの機会にチャレンジしてみて欲しいですね。
――やはり女性は骨盤周りのインナーは重要?
もちろんです。女性なら特に骨盤周りが歪んでいると全身の血流がすごい悪くなって体にも先ほど挙げたような様々な不調が出てきます。
なので股関節・骨盤周りの筋肉の歪みをヨガでしっかり整えてあげる必要がありますね。
動画で見るおすすめ温活メニュー(ヨガ・ストレッチ)
まず先にお伝えしておきたいのはストレッチもインナーマッスルも大変なことは必要なくて、本当に最低限の動きだけで十分です。
これだけで血流、ホルモンバランス、自律神経、体の歪みなど多方面にアプローチできる「とりえずこれだけやっておけばいい」という優れもの。
ちょっとした合間に数分で取り組めるような内容になっていますので、ぜひご自宅で実践してみてください。
冷え性改善の前に…ストレッチ
冷え性を改善する板のポーズ
体の不調もだいたい改善されてきて体が元気になると心も元気になって精神的にも安定してきます。
最初は対症療法で湯船につかったり腹巻、レッダウォーマーなどが必要になるかもしれませんが、そのうち必要ないくらいに改善してくるはずですよ。
――続けていたら痩せたりもしたり?
痩せるというよりかは痩せやすい身体にはなりますね。
後は見た目の変化で言うとインナーを鍛えると内臓の下垂が抑えられるのでぽっこりお腹が引っ込むのはメリットに挙げる方が多いです。
しかし、そこで太ってるからと勘違いして食べるのを控えてしまうと根本からズレているので大変なことになってしまいます。
これはダイエット中の女性がよく陥りがちなNGポイントですね。
――他にもポイントはありますか?
やっぱり基本は食事運動睡眠ですね。食生活は(血液どろどろコレステロールは当たり前ですが、特に女性が陥りやすいのは欠食です。
運動不足で筋肉量が少ないころに、さらにやせたいからと食事をとらないと次の食事のときに血糖値が一気に上がってしまいます。
すると血糖値を下げるためにインスリンが分泌されますが、このとき同時に筋肉も分解されてしまうんです。するとさらに熱をうまくつくれなくなり、さらなる悪循環で冷え性へまっしぐらに…。
ストレッチしてインナー鍛えれば食べても太らなくなるのに、とりあえず痩せようとして食事抜いて自律神経乱れて冷え悪化して…みたいな方が結構多いので絶対やめて欲しいですね。
最後に…
実は私も高校生くらいのときは末端冷え性がすごくて冬とかはもう寝れないくらい冷えてる時がありました。
その時は体に対する知識もなくて靴下履いて手袋つけて寝るみたいな感じでしたけど、今にして思えばストレッチとかしてなくて血行が良くなかったんだと思います。
でも、それもストレッチと体幹トレーニングで気づいたら治ってたんです。
ストレッチとインナーマッスルのトレーニングはそれほどまでに劇的な効果があるものと思っていますので、ぜひ今日から1日10分からでもお試しください。